ロマンスの神様
□雪
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「な〜んか雪降りそうだな」
「今日雲の色重たかったもんね。それに凄い寒いし…」
「それはいいけどお前はなぜまた俺の布団にいるんだアル。」
「寒いから〜。体も…あと心もv」
「…勝手に言ってろ馬鹿。ただし俺が寝てる時に変な気起こすなよな」
「うん♪」
今夜も強引に部屋に押しかけ有無を言わせないうちにエドの布団に潜り込んでいたアルは、今正式に本人の許しを得て嬉しそうな声をあげた。
「ったくしょーがねぇ奴だな」
そう言ってため息を吐くエドだったが、なんだかんだで理由をつけては度々自分の布団に潜り込んでくるこの『しょーがねぇ弟』に対して多少ブツブツ小言は言うものの毎回拒まずに好きなようにさせている。
(俺もしょーがねぇ兄なのかもな…)
エドはアルに背を向けて自嘲気味な笑みを零すと、それから静かに目を閉じた。
「兄さん」
「…なんだよ。」
「手…繋いで寝よ」
「は?」
「だって兄さん…今日ハイデリヒさんとは手繋いでたのに僕とは繋いでくんなかったんだもん。仲良くしないと嫌いになるぞって言うからずっと我慢してたけど…僕だって兄さんと手、繋ぎたかった」
「…お前がアルフォンスに優しくしてやれって言ったんじゃないか」
「じゃあ僕にも優しくしてよ」
「な…っ!」
アルのワガママっぷりに思わずエドは盛大なため息を吐いた。
「…ったく…」
そして寝返りをうち、優しくアルの手を握ってやる。
「えっ?」
「ほら。これでいいんだろ?」
「う、うん」
「何だよ嬉しくねぇのかよ」
「ち、違うよ…ただあんまりアッサリ手、握ってくれたから…僕…あの」
「おやすみ!」
「あ…う、うんおやすみ…兄さん…」
*