ロマンスの神様
□いたずら
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「兄さんお風呂」
「やだ疲れた動きたくない」
「…でもその疲れをとるためにはお風呂入んなきゃ」
「お前先に入れよ」
「僕は今お風呂から出たとこだよ」
昼間散々遊び回ったエドは夕方頃くたくたになりながらリビングのソファーに倒れ込み、その後はダラダラとテレビを見ながら過ごしていた。
一方アルはそんなエドに真っ先に風呂をすすめたものの一向に起きあがる気配がないので先にシャワーで一日の汗を洗い流し、風呂でゆっくりと温まってからリビングでいまだにダラダラしているエドに再び風呂に入るよう説得を試みていた。
「後で入る〜」
「もう!またそんな事言って!兄さんの『後で』はあてにならないんだから!」
「んあ〜!何すんだよアル〜!!」
アルはエドの体を強引に起こすと不満げな声をあげるエドの耳元で声を低くし、妖しく囁いた。
「…それとも兄さんは僕に入れてほしいのかな?」
「〜〜〜〜自分で行ってくるっ!!」
その瞬間ガバッとソファーから立ち上がり顔を真っ赤にしながらリビングを後にするエドにアルは一人クスクス笑いながらその姿を見送る。
「本当にからかい甲斐があるよね。顔真っ赤にしちゃって可愛いったら…」
アルはそれからソファーの上で濡れた自分の髪を丹念にタオルで拭きながらテレビを見る事に集中した。
「は〜。良い湯だった〜…って…あれ?」
エドが自分の髪を乱暴に拭きながらリビングに戻るとテレビが付けっぱなしにも関わらずアルの姿が見あたらなかった。
「…アル?」
それに違和感を覚えソファーまで近寄っていくと、そこでエドは珍しいものを発見してしまった。
「…ぷっ」
それはソファーの上で横になり、無防備な顔で寝息をたてるアルの姿であった。
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