ロマンスの神様
□悩殺
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(何故こんな気持ちになるのか…)
「知らん!」
(辿り着きそうになる答えは…)
「気のせいだ!!」
…これでいい。
もうこれ以上は何も考えない。考えてはいけない。
とりあえずアルと仲直りしてまたいつも通り、何事もなかったかのように過ごせばいい。
(もう余計な事考えるなよ俺…)
エドは自分の中のモヤモヤする部分を無理矢理頭の隅に追いやるとアルの部屋の前に立った。
(単純な事だ。ただアルにもう一回謝らせて許してそれでまた普通の生活に戻す。…それだけだ)
エドは頭の中で先ほどまで考えていた事をかき消すかのように何度もそう自分に言い聞かせると、一度深呼吸してからアルの部屋のドアをノックした。
コンコン。
「アルー…」
「に、兄さんっ?!」
呼びかけるとすぐに部屋の中から反応が返ってきた。
その声が驚きと、あまりにも嬉しそうな色を含んでいたのでエドは思わず口角を上げてしまう。
(は、いかんいかん!)
しかしすぐに無表情を装い、早速ドアを開けようとした。
ガチャガチャ。
「ん?」
しかしドアは内側から鍵がかけてあり開ける事ができなかった。
「ごめん少し待って兄さん!本当にあと少しだから!!」
すると中からアルの焦った声が聞こえてきた。
「…?」
エドは言われた通り少し待つ事にする。
そして
「…兄さん…お待たせ」
約1分後、鍵が開いた音がして、それからドアがゆっくりと開いた。
*