ロマンスの神様
□夏休みに
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太陽は今日もギラギラと容赦なく地上を照りつけていた。
窓を開ければ一斉に蝉の大合唱。
暑い。うるさい。暑い。うるさい。
「あぢぃいぃ〜…」
そんな中エルリック家ではエアコンも付けずにリビングで夏休みの宿題に励むエドとアルの姿があった。
「しぬぅ〜あづいぃ〜し〜ぬぅ〜…」
「しょうがないでしょ。エアコン壊れちゃってるんだから…」
…正確には付けないのではなく、付かないという事らしかった。
エルリック家の中でエアコンが付いている部屋は父と母の寝室とリビングの二つである。
そしてリビングに付いている方のエアコンが今、全く動かないのであった。
「ほら、兄さん。ダレてないで宿題頑張ろ?」
テーブルの上でグッタリしているエドに、アルはニッコリと笑いかけた。
「お前は暑くないのかよぉ…」
「暑いよ」
「じゃあ何でそんなに涼しい顔してんだよ。汗だって明らかにお前の方がかいてねーじゃん」
「いや、別に涼しい顔なんてしてないけど…でもまぁ確かに兄さんの方が暑さに弱いみたいだね」
「同じ親から生まれてきたのに不公平だ…」
「何言ってんの、もう」
「う〜あ〜…エアコンのバカヤロ〜…貧弱〜…役立たず〜…不良品〜…」
「はは、兄さんたら」
テーブルの上でグッタリしているエドに、先程エアコンのコンセントをこっそり抜いておいたアルはニッコリと笑いかけた。
「それより兄さん。さっきから宿題全然進んでないじゃない」
「あ〜…宿題…」
「あ〜じゃなくて」
「うー…だって暑すぎてやる気でねぇんだもん…」
そう言ってエドは手近に置いてある空のコップをアルにハイ。と差し出した。
「氷三個でコーラ」
「兄さん飲みすぎだよ」
「今日はとことん飲んでやる」
「あのね、嫌なことがあったサラリーマンじゃないんだから」
はぁ、とため息を吐きながらもアルはエドのリクエスト通りの飲み物を作るため、ゆっくりと椅子から立ち上がった。
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