ロマンスの神様

□乳繰りNight
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カリカリ…

アルフォンスはその夜も自分の部屋で日記を書き綴っていた。長すぎず、短すぎず、その日あった事、感じた事を大好きなエドに報告する為に。

【交換日記の事、よくアルは怒らなかったよな。でも本当に良かったよ。俺はあん時修羅場になるんじゃないかってマジでヒヤヒヤしたんだぜ。
あとピットの事も良かったよな。あれからあいつやっとまともになってさ。
お前にも悪いことしたってかなり反省してたぜ。
そういえばアルが言ってた通り今度何か奢るとも言ってたぞ!何奢ってもらう?】


エドの日記はここで終わり。

アルフォンスはそれを時々読み返してはクスリと笑って続きを書く。


カリ、カリカリ、カリ…


『……です。でもエドワードさんと二人だけの秘密がまたひとつなくなっちゃったんだなと思うとちょっとだけ寂しいです。』


カリ…


「奢ってもらうものかぁ…」

一旦手を休め、アルフォンスはエドからの質問について考える。
何せ自分は夏休み丸々ピットに捧げたのだ。今日の放課後エドを迎えに行った時(夏休み前と比べて大分まともな顔つきになった)ピットに散々謝られはしたものの、やはり奢ってもらえるとなればいつものファーストフード店ではなくもうほんの少しランクを上げてもらわないと割に合わない。

そう。何せ、自分は大好きなエドと夏休み中全く会えなかったどころかメールすらできなかったのだから。

(そういえば…)

アルフォンスはふと、エドの方の夏休みはどうだったのかまだ聞いていなかった事にここで気が付いた。

「…」

日記に、その事を書こうとして、しかし途中でその手を止める。

何の事はなかったがただ朝、ウィンリィによりピットから解放されたエドが自分たちを見つけるなり真っ先にアルの方へ走り寄って行ったのが頭をよぎったのだった。





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