ロマンスの神様

□今日もプチ欝絶好調
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「んでお前、一体何の用なんだよ」

しばしの気まずい沈黙の後、ずっとムッツリしたままのウィンリィに、エドはついにそう切り出した。

「ん?んん。あぁ、そうだった。エドじゃなくて…あんたよあんた。アルフォンス…ハイデリヒの方。あんたに用があんの。」

ウィンリィはそう言ってびしりとアルフォンスを指差した。

「な、何ですか?」

指差された方のアルフォンスは更に強くエドの腕にしがみつき、しかしそれでもぎこちない笑顔を作った。(それを見たアルの目つきも更に悪くなっていった)

「…はぁ…」

そんなアルフォンスにウィンリィは小さくため息を吐くと、少しだけ表情を和らげた。

「ん〜まぁ…ここじゃちょっと話しづらっていうか…できれば二人きりで話したいんだけど…」

その言葉を聞いた瞬間、アルフォンスの表情はぎこちない笑顔から何とも形容し難いモノに変化した。

「え…?あ…、僕、とですか?」
「そうよ。あんたとよ」

ウィンリィはまっすぐにアルフォンスの方を向いたまま、はっきりと頷いた。

「…おいウィンリィ」

するとアルフォンスがわかりましたと返事をするよりもエドが先に声を発した。

「何よ」
「…お前、アルフォンスに何するつもりなんだよ」

エドの声はいつもより少し低かった。

「え…っ?別に何もしないわよ…ただ話をするだけよ」

ウィンリィがその様子に少し驚きつつ軽く返すと、エドは更に探りを入れてきた。

「話ってどんな」
「別にどんな話だっていいでしょ」

「いいや、よくない」
「あんたには全然関係ない話よ」

「だからどんな話かって聞いてんだよ!」
「あんた鈍いにも程があるわよ!!」

「鈍いって何がだよ!?どんな話なのか俺にはっきり言うまでアルフォンスは渡さねえぞ!!」


ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ。



エドとウィンリィによる激しい言い争いの最中、アルフォンスは嬉し涙を堪えるのに精一杯だった。





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