ロマンスの神様
□最悪の再会
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「にしても良かったな〜アルフォンス。今回は痣ができなくてさ♪」
「え…えぇまぁ」
学校からの帰り道、エドはアルフォンスの頬がいつも通りなのを見てニヤニヤしていた。
「痣?」
その隣にいたアルがそれに首をちょこんと傾げると、エドは今度は思い出し笑いを始めた。
「ぷっくくく…!ぃ、いつだったかさ、女に告られた時殴られて…っ、こいつおたふく風邪みたいになってよ…っ!あははは!もうあん時の顔ったら!!あははははっ!!」
「エドワードさんっ!」
自分自身、もう思い出したくもないような腫れ上がった顔を思い出され、しかもそれを思い出し笑いしているエドにアルフォンスが膨れっ面を向けると、今度はアルから信じられない!というような声が上がった。
「えぇえ〜っ!殴られたの?!何で?!」
「え!?アル君は殴られた事ないの?!」
その声に対してアルフォンスも同じような声で返す。
「ないよ一度も!…あ、そういえばちょっと前にも殴られてたよね…ハイデリヒさんて無意識に酷いフリ方してるんじゃないの?……『君さ、僕にはつりあわないよ』…とか!!」
「うわ〜!アルフォンスひっでぇ〜!!」
「そっ、そんな事僕全然言ってないですっ!…もう!アル君変な事言うのやめてよ!!」
「じゃあこうか?…………『言っとくけどボク、買い物とかで財布は一切出さない主義なんだけど、キミのお財布大丈夫?』……あははっ!これで決まりだな!!」
「だから言ってませんてばっ!!」
その後しばらくエドとアルがアルフォンスの真似をしてはアルフォンス本人をからかって盛り上がっていたが、やがてよそ見をしながら歩いていたエドが『何か』に思い切りぶつかり、その衝撃で小さく声をあげたところでそれは終わった。
ドンッ!!
「いてっ!?」
『何か』にぶつかったエドが慌ててそちらを見ると長い黒髪を一つに束ね、チュッパチャプスを口にくわえながら鋭い目でじっと見つめてくる少年と目があった。
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