ロマンスの神様
□最悪の再会
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その黒髪の少年はエドと同年代くらいに見えた。
「あ…わ、わりぃ」
エドが目の前の少年に軽く謝ると、少年はにこっ、と笑ってから自分のポッケをゴソゴソと漁りだした。
「「「???」」」
その様子にエド、アル、アルフォンスがキョトンとしていると、やがて少年はエドたちが見た事のない、黒い珍しい(悪く言えば怪しい)ビニールに包まれたチュッパチャプスをポッケの中から取り出して、それをエドに無言で差し出した。
「………!」
そしてそれに表情を変えはしないものの、いち早く反応したのはエドの隣にいるアルだった。
「…」
(ま、まさか兄さんこんな初対面でただぶつかったってだけの見ず知らずの人から食べ物受け取ったりしないよね…?)
受け取った。
エドはアルの心配した通りサンキュ、と言いながら何の警戒心もなくそれを嬉しそうに受け取ってしまった。
「……」
(ま、まぁ、受け取らないのも失礼だもんね…。ただ食べなきゃいい話だし…)
食べた。
エドはアルが止める間もなく素早くビニールを取り去るとパクリと口にくわえてしまった。
「に……っ!?」
(ちょ…っ!!知らない人からもらった物を何の躊躇いもなく口に…!!)
黒髪の少年に失礼だとは思いながらも顔を引きつらせるアルの隣の隣では、アルフォンスがよかったですね〜。とこちらも天然丸出しで笑っていた。
(二人とも少しは人を疑おうよ!)
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