ロマンスの神様

□あっちこっちそっち
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「…なぁ」

昼休み。


陽当たりのいい、しかし風も強い屋上で、エドとピットは昼食を済ませた。

まだ、昼休みの時間はだいぶ残っている。
二人は何をするわけでもなく腰を下ろし、壁に寄り掛かってぼんやりしていた。

しかしやがて、エドが周りに人がいないか一応確認してから、隣でウトウトしているピットに口を開いた。

「…お前って、さ…あ、もしもの話だけど。」
「…何だよ」

もじもじともったいぶるエドに一応首を傾げてやるが、しかしピットにはこれから振られる話題の内容が何となくわかっていた。

「き…っ、キスとかさ」
「うん」

「お前、ウィンリイ以外でも可愛い女がしよっ、て言って来たら…できるか?」
「………あぁー…」

やっぱり何かあったんだな、なんて思いながらもピットは質問に対しての返答に悩んだ。

「…すっげぇ可愛い奴な!…でも別に好きってわけじゃない奴!!」
「うーーーん…。」

ピットはしばらく唸っていたが、脳内でシュミレーションが終了したのかやがて唸るのをやめた。

「…………まぁ…」
「まぁ?!」

「俺も男だし…可愛いかったらしちゃう…かも」
「…………………」

ピットの返答にエドはそうか、と小さく言うと、膝を抱えてうつむいた。

「…ぁ」

その様子にピットは、自分の返答がエドの求めていた意見でなかった事を悟り、焦った。

「で、でもほら、これはあくまで俺一人の意見であって、大多数の男はできないって言うかも!…ほら、例えばハイデリヒ君なんかは真面目だから無理なんじゃないかなーなんて思うんだが」
「…あ、確かに」

エドは僅かに顔を上げる。

「聞いてみたらいいじゃないか。家、隣なんだしさ」
「…そう、すっかな」



ズボンのポケットからもそもそと携帯を取り出すと、エドはぽちぽちとメールを打ち始めた。





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