ロマンスの神様

□あっちこっちそっち
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「…」

夕食を終えたアルフォンスは、自分の部屋のベッドにちょこんと座りながら、何をするでもなくただ窓の外ばかりを気にしていた。

「…まだかな…」

というのも、実はこれからエドがアルフォンスの部屋を訪ねて来る事になっているからだった。

昼間、エドから突然『相談があるから夜お前の部屋に行ってもいいか』という内容のメールが来たので、アルフォンスは喜んで『大丈夫です』と即返信したのだ。




アルフォンスには、やがて来るエドからされるであろう相談の内容が、何となくわかっていた。

エドが朝から何となくアルとギクシャクしているのに気付いていたからだ。

(もう弟には疲れたっていう相談だったらいいのにな…)

アルフォンスは思わずそんな事を思ってしまう。

その上、エドがまだ来ないのをいい事に妄想まで膨らませてしまった。



『やっぱり、わがままな弟より優しくて包容力のあるお前の方がいい』

そう言ってエドが抱き付いて来る。

『…アルフォンス』

そして頬を僅かに赤らめながら切なそうにこう言うのだ。

『実は俺…お前の事が好きなんだ』

それからアルフォンスは見上げて来るエドの瞳がゆっくりと閉じられていくのを見る。

(あの時のエドワードさんの唇…柔らかかった…)

そして以前、寝ているエドの唇をこっそり奪った時の事を思い出し、妄想にリアルさを追加してみた。



「…なんてね」

想像以上によかったが、何となく心に虚しさが残った。





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