ロマンスの神様

□ある日のエルリック家
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ポカポカと暖かい日差しが降り注ぐ日中。

エドとアルはリビングの庭側にある、天井から床までガラス張りの戸を開け放ち、二人並んでそこに腰掛けていた。

「…いい天気だね…兄さん…」
「あぁ。あったかいなー…」

春休み真っ直中の二人は、しかし既に宿題を全て終わらせていて、今は特にしたい事もなく、ただただ暇を持て余していた。

「暇だね…」
「暇だな…。せめてアルフォンスがいたらなー…」

しかも隣人でありエドの親友でもあるアルフォンスは今遠い祖母の家へ出かけているのである。

「別にハイデリヒさんはいなくてもいいよ」
「何言ってんだ…。二人より三人の方が楽しいだろ…。いろいろできるしさ」

「3Pは僕嫌だよ」
「…」

エドは無言でアルの頭をぶん殴った。




「ひ…暇だねー…」
「暇だなー…」

「平和だねー…」
「平和だなー…」

流れる雲、鳥のさえずり。揺れる花。

長い間ぼんやりとそれらを感じていると、やがて二人の背後で深刻そうな声がした。

「…いかん…いかんよお前たち…」

二人が振り返るとそこにいたのは二人の父親、ホーエンハイムだった。

「お前たち…青春真っ盛りな男児がせっかくの休みの日に二人揃って何やってるんだい…!!」

ホーエンハイムは体全体で『あぁ、嘆かわしい』を表現していた。

「そんなところでぼんやりしている暇があったら勉強しなさい」
「宿題ならもー終わった」

すかさず答えたエドにホーエンハイムは頭をユルユルと左右に振った。

「その勉強じゃない…違うよエドワード…。男としてやるべき勉強だよ…」

エドは馬鹿らしくなったのか再び庭の方を向き、アルは首を傾げた。



「待ってなさい…今父さんが良い物持って来てやるからな…」





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