ロマンスの神様
□ある日のエルリック家
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エドとアルはリビングで、裸でうふんあはんなポーズをとる女性が載っている大量の本を前に呆然としていた。
「さぁお前たち!今日は父さんと心ゆくまで勉強しような!」
本を挟んで兄弟と向き合っている父親、ホーエンハイムは両腕を広げてさぁ!と本を勧めた。
「男なら…男なら知識!経験!テクニック!…来たるべきその日の為に学ばなければならない!だから今学べ息子たちよ!わからない事があったら父さんが何でも教えてやる!!」
ホーエンハイムは拳をふるわせながら熱弁した。
しかし
「断る!!」
ビシ!とそう言ったのはエドだった。
「俺にはそんな事よりやらなければならない事がある!」
てっきり喜んで本に飛び付いてくると思っていたホーエンハイムはえっ?と、自分に背を向けて何故か裸足で庭へ歩いて行くエドを見つめた。
「俺は何としても今日、蝶々を捕まえなくてはならない!」
ドドン!と何故かいきなり立派そうにそう言ってのけたエドを、これまた何故かアルもそそくさと追って行った。
「僕も手伝う!」
「えぇっ?ちょ、お前たちどうしたんだ突然!!蝶々なんてどうでもいいだろうッ!?」
突然庭でわぁわぁと蝶々を追いかけ出した息子たちにホーエンハイムは驚愕し、叫んだ。
「ふ…不健康だ…!」
しかしその言葉に対しての返事は視線の先からではなく、背後から返ってきた。
「…不健康?そうかしら…。私、家で静かに読書しているよりも外で体を動かして遊んでいる方が健康的だと思うわ…。ねぇ?…あ・な・たv」
「ト………ッ!?」
断末魔の叫びを背中で聞きながら、エドとアルはぼんやりと蝶々を眺めている。
「蝶々綺麗だね兄さん」
「綺麗だな」
「あ、勿論兄さんの方が綺麗だよ?」
「はは、お前ってワンパターン」
*