ロマンスの神様

□ツンデレ王
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その日の昼間、祖母の家からようやく帰って来たアルフォンスはお土産を片手にエルリック家を訪ねていた。

「♪」

ドキドキしながらチャイムを鳴らすと、中からすぐさま大好きなエドの声が返ってきて、それから玄関のドアが勢いよく開く。

「おぉ!アルフォンス!」
「こんにちは!昨日メールでお知らせしておいた通りお土産を持ってきました♪」

そう言ってアルフォンスは緑色の箱をエドに差し出した。

「うぉお!サンキューvV」

その差し出された箱をエドは喜々として受けとろうとして…できなかった。

その前に素早く、アルに横取りされたからだった。

「…あっ!」

途端、エドは不満げな声をあげるが、しかしアルにひと睨みされるとそれだけで黙った。

「違うよね?兄さん」
「す…すいませ…」

アルに睨まれたエドは怯えたように身を縮める。

「?」

アルフォンスがその様子を首を傾げながら見ていると、次の瞬間アルは何と、エドの頬をピシャッ、と張った。

「は…っ!?」

驚くアルフォンスの前でエドはバタ、と床に倒れる。

「ちょ…っ、アル君何してるの!?」
「部外者はすっこんでろよ。これは兄さんと僕の問題なんだから」

そう言ってアルは倒れたエドの肩を踏み付けた。エドの顔が痛みに歪む。

「ほら兄さん!人から物を差し出されたら何て言うの!!」
「すいません!すいませんコーチ!!ありがとうじゃなくて最初に要らない!と口では言いつつ次に買ってきちゃったものはしょーがないからもらってやる!と言って奪い取る、ですコーチ!!」

「わかってるなら最初からやれよ!!」
「はい!すいません!!」

「兄さん!兄さんは何になるんだっけ!?」
「ツ…、ツンデレ王ですコーチ!!」

「もう一度!!」
「ツンデレ王です!俺は…俺はツンデレ王になります!!」



(ぼ…僕がいない間にこの二人に一体何が…?…っていうかツンデレ王って何…?)



まるでスポコン漫画のような二人のやりとりを前に、アルフォンスはただただ呆然とするしかなかった。





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