ロマンスの神様
□ツンデレ王
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エルリック家を訪ねてから二時間後、自分の部屋に帰って来たアルフォンスはベッドに倒れ混みながら、先ほど思い切って『ツンデレ王って何?』と聞いてみた後、アルからされたおおまかな説明をもう一度頭の中で整理してみた。
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一時間と何十分か前、アルフォンスはエルリック家のリビングにあるソファーに座りながら奇妙な光景を目にしていた。
「紅茶がはいりました、コーチ」
「んじゃそこに置いといて」
「はい」
二人分のカップをお盆に乗せて現れたエドは、ソファーとソファーの間に置かれている小さなテーブルにそっとそれを置いた。
「…」
アルはアルフォンスの向かい側のソファーに座って足を組みながらその様子を見ている。
「では」
エドはティーカップをアルとアルフォンスそれぞれの前に置くとささ、と静かに身を引いた。
「兄さん」
しかし台所へと去ろうとするエドの背を、アルが呼び止める。
「…は…っ、はい…」
するとエドは小さく返事をして、ビクビクと振り返った。
「………。」
そんなエドにアルはソファーから立つと
ぱちんっ!!
再び頬を張った。
「くっ!」
エドは再び床に倒れた。
「アル君ッ!!!」
それと同時にアルフォンスは勢いよく立ち上がり、アルにつかみかかった。
「いいんだアルフォンス!!!」
しかし床からエドの悲痛な叫びが聞こえてきて、アルフォンスはギリギリで出かけた右手の拳を止めた。
「いいんだ…!俺が悪いんだ…!最後俺がお前に『飲みたきゃ飲めば』って言わなかったからー…!」
「……はぁ?」
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