ロマンスの神様

□もう我慢出来ない。
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「♪♪♪」

エドは階段を降りて行き、リビングを通ってキッチンへとやって来た。

「えーっと」

そして冷蔵庫を開けて中を物色し

「玉子とウインナー…あとは…漬け物とかあった方がいいかな」

そこから適当なものを取り出した。

「あとかさばらないように使い捨てのパック…割り箸…」



エドはブツブツ言いながらコンロに火を点けた。




***


その数十分後、二階のアルの部屋で携帯のアラーム(バイブレーション)が鳴った。

「んん…」

アルはうっすらと目を開け、のそのそと上半身を起こす。

「ふぁああああ…」

それから携帯のアラームを止めて部屋を出た。




「…あれ?」

廊下に出るとすぐ、アルはキッチンの方から物音がする事に気付いた。

「まさか…!」

アルはハッとしてリビングへ行ってみる。

「よぉアル、一足遅かったようだな」

するとそこではエドがちょうど二つあるプラスチック製のパックに今し方作ったタコさんウインナーを盛り付けているところだった。

ちなみにパックの中にはすでにおにぎりと玉子焼き、彩り用の温野菜などが盛り付けてあり、更には可愛らしいピックも刺さっている。

とても17歳の男子が作ったとは思えない、実に可愛らしい出来だった。

「ニンジンがちゃんとお花の形してる!凝ってるね…」
「ふふ、母さん、そういうの好きだからな」

「兄さんて母さん絡みだと何かヤル気満々だよね…」

アルは機嫌良さそうにパックの蓋を閉めるエドをジットリと見つめた。(そして小声でぼそりとやっぱりマザコンかも…と呟いた)

「僕何か手伝う事ある?」
「いや、バスの中で食う用の朝飯作ったらあとはもう旅行に行く本人たちの身支度くらいだろ。さっきタイマーを三十分遅らせといたから…もうすぐ起きてくるな」

「兄さんたらそんな事までしてたの?」
「旅行の日くらい少しでも長く寝かせといてやりたいからな。…お前だってこっそり母さんたちの弁当作りに来たんだろ?」

「先を越されちゃったけどね」

へへ、と笑いながらアルはふと、仲良く並ぶ弁当が入ったパックの片方におにぎりが入っていない事に気付いた。

「あれ?こっちのおにぎりは?」
「あぁ、そっちは親父のな。…そこに入りきらなかった」



エドはそう言って炊飯器の横から大人の拳ほどもあるおにぎりを持ち上げた。





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