ロマンスの神様

□アルの一日
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よく晴れた日。

一歩外に足を踏み出せば強烈な太陽光線が肌を刺し、蝉の大合唱が耳を劈く、そんな夏まっさかりな日。

エドとアルはいつの間にか夏休みに突入していた。




「…んー…」

夏休みなんてない両親がいつも通り会社に行った後、存分にクーラーを効かせたリビングの、いつもは食事をとるために使われているテーブルで兄弟は揃って宿題に取り掛かっていた。

「…んー…」

アルは問題集と睨めっこして唸った。ただし唸りながらも右手はしっかり動いている。

「…うーん…」

何度目かの唸り声をアルが上げた時、向かい側からちょっと嬉しそうな声がした。

「何だアル、解らないところでもあるのか?」
「え?」

エドはここぞとばかりに兄貴らしく振る舞いたいらしく、アルに助けを求めてほしいようだった。…しかしアルの右手が絶えず正確に問題を解き続けているのを目にすると、違うのかよ…と残念そうに呟いた。

「何唸ってんだよ」
「あぁ、ごめん。そろそろおこずかいも貯まったし買い出しの時期が来たかなぁーと思って…。何買うかちょっと悩んでたんだ」

アルは一旦手を止めて爽やかに笑った。

「買い出し?何を?」
「あー、うん、服とか…いろいろ」

曖昧な返事だったものの、エドはそれ以上突っ込まなかった。

「いつ行くんだ?」
「今日」

アルが今度はすっぱり答えると、エドはちょっと残念そうにそうか、と言った。

「あ、兄さんも一緒に行く?」
「いい。溶けたくない」

エドは今日という猛暑の中、どこかへ買い物に出かけるのは変人だ、という顔をした。

「そっかー…。」

今度はアルが残念そうに呟いた。

「…また暑くない日な」

しかしエドに、さり気なくそんな事を言われると、嬉しそうにするなという方が難しくなってしまうアルなのだった。

「うん…また…また今度暑くない日にデートしようね!」





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