戦国BASARA

□異変 前
1ページ/6ページ

※学園BASARA
※人間関係に異変有り?
※幸村のターン




教室を出た所で、こちらを見もせずに横をすり抜けていった男に思わず拍子抜けする。

「………?」

人間違いかと思わず振り返って男の背中を確認すればいつもと違わぬ渦巻き模様。…やはり伊達政宗に違いなかった。

顔を合わせれば毎回しつこく絡んでくるくせに今日はどうしたというのだろう。こんな事は初めてだ。考え事でもしていてこちらに気付かなかったか。

「雨なぞ降らねば良いが…」

そんな事になれば部活が満足にできぬ。

それに、この学園のありとあらゆる部活は強豪と呼ばれ当たり前のように大会などで優勝しているような部ばかりなので、雨の日は筋トレをするだけにしても場所的な問題で難しい。適当に活動する部などなく、我がサッカー部同様、気合いの入っているどこの部も皆同じように筋トレする場所の確保に必死だからだ。


現在天気は曇り。少し心配だ。

ともあれ今は、朝のホームルームが始まる前にジュースを買って戻って来ねば。

廊下の天井から突き出すように固定された四角い時計で残り時間を確認し、俺は強く廊下を蹴った。




***




放課後になり、まだ雨が降っていない事に安堵する。やはり雨が降るのではと今日一日で何度思った事だろう。

原因は朝と同じ、伊達政宗だ。

おかしいのだ。今まで学校にいればありとあらゆる場所で一日に何度も顔を合わせていた伊達政宗と、今日は朝一度、あれきりしか顔を合わせていない。一体どうしたというのだろう。もしや体調が優れず早退でもしたのでは。




…そんな心配が見事に的中する。部活に向かう途中で菜園にしゃがみ込む野球部員たちの中に、伊達政宗の姿がなかったのだ。そして、何故かその畑の脇で携帯を耳にあてた片倉殿がウロウロしている。


何かあったのだろうか。

…まぁ、良い。こんな所で考えを巡らせていてもしょうがない。それに伊達政宗がいつものように邪魔をしに来ない今、グラウンドを予定通り自由に使える。こんなに良い事はない。

こうなれば一刻も早くグラウンドへ行こう。今日はお館様が部活に顔を出される日!ウォーミングアップを済ませ、お館様に御指導頂くのだ!!




*
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ