戦国BASARA

□みんなが通る道
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※学園BASARA
※物凄く適当な性格の教師が幸村と政宗のクラスの家庭科の合同授業を受け持つ




「Hey、teacher!何で俺がこいつと一緒のteamなんだよ!class違うだろ!」
「左様!我々は別のクラス!何故同じ班なのですか!」

はぁ、早速きたよ。情報通りだな。

二年一組伊達政宗、二年二組真田幸村。野球部部長とサッカー部のエース。この二人はライバル関係であり、顔を合わせれば衝突していて、グラウンド使用権を奪い合ってるとか。

つか、順番決めて交互に仲良く使えば良いじゃん。あーあー若いねー熱いねー漲っちゃってるねー。何なのこの無駄な生き生きさ加減。もっと適当にやれば良いのに

「あーウン、人数半端になっちゃうから何となくね」
「「何となく!?」」

手をヒラヒラ振りながらほんわか答えると二人仲良く同じリアクションをした。…気、合ってるじゃん。

「まぁとにかくほら、時間アレだからそろそろ始めてね。あんまりゴタゴタ言ってると猿飛君と片倉君呼んじゃうよ」
「「うっ!!」」

おお、これも情報通りか。この二人の名前を出せば伊達君と真田君は黙るしかないとかいう。

「さ、同じ班になったからには二人とも力を合わせてちゃっちゃと作っちゃってね!」

伊達君と真田君はしばらくお互いを睨み合ってから静かに自分たちのテーブルへと帰って行った。よしよし良い子だ。流石は成績優秀のスポーツマン。基本的には優等生なんだな。




申し遅れたが俺はこのBASARA学園に就いたばかりの新人教師。担当は体育。…だけど今俺は何故か家庭科の授業を受け持っている。何か知らないけど家庭科の先生が前の授業で爆発事故に巻き込まれて入院したらしい。…爆発事故とか超怖え。何があったし。

まぁとにかく、そんなわけで代理で授業をみる事になったんだけど、他の先生方からは生徒たちが大事を起こさないように見張ってるだけで良いと言われている。…見た感じ、不良や問題児がいるわけでもないし何か問題が起きそうな気配はないけど、このBASARA学園には個性的な生徒たちが多数いて、本人たちに悪気はないが大事故が起きたりする事が多々あるらしく教師もかなり逞しくないとやっていけないんだとか。

そんな中"悪気はないが大事故を起こす"事が多い生徒は教師の間で密かにリストアップされていて、扱い方なんかもそこに載っていたりする。

今回、俺が受け持つ授業にその中の二人がいた。しかも、"特に頻繁に"大事故を起こす二人だ。それはだいたいが二人がグラウンド使用権をかけて争っている最中に起こるらしいので、俺は今回二人が争えないようにわざと同じ班にしたのだ。

現在ここは家庭科室。広い教室内にシステムキッチンよろしく、レンジやコンロ、シンクなどが一体化したテーブルが等間隔に置かれている。

チラと二人の方を見やると、うん、よしよし大人しくエプロンを着けているな。でも伊達君が…何か物凄いしかめっ面で真田君を見て何故か顔を赤らめている。…怒ってるのか?

真田君はプリントとにらめっこをして真剣な顔だ。

俺は授業が始まる前に各テーブルに食材と、料理のレシピが書かれたプリントを配布しておいた。…まぁ、あとは事故を起こさないように適当にやってくれ、みたいな感じだ。

ちなみにメニューはご飯、みそ汁にサラダと肉団子だ。大した失敗も起こり得ないような内容。普通に作れば失敗しようがない。注意すべきは火加減くらいだろうからプリントには火加減のとこだけデカデカと注意の文字を書いておいた。

さーて、やる事はやったし俺は生徒たちが料理してる間ジャンプでも読んでいよう。

黒板の真ん前に教師用の席があり、そこにダラッと座って今朝買ったジャンプを広げると、前方から伊達君と真田君の声が聞こえてきた。

「おい真田幸村!何だその包丁の持ち方は!」
「な、何か問題が?」

「大アリだ!オラ、猫の手とか聞いた事あんだろ?それじゃ指切っちまう」
「猫の手?」

「ああもう、こうだ、こうして」

ジャンプからそちらに視線を上げるとまな板の上の玉ねぎを切ろうとしている真田君と、その、真田君を背後から抱き締めるようにして包丁の握り方を指導している伊達君…。何この図。実はお前ら結構仲良いだろ。

「うう…目にしみるでござるぅぅ」
「おい、目を閉じたまま包丁使うな、危ねぇだろ」

伊達君が真田君の涙を自分のハンカチで拭うところを視界の端に捉えながらジャンプに視線を落とした。生徒たちの仲よりナルトの続きが気になる。

「いっ、」
「ああ、言わんこっちゃねぇ!」

が、ナルトのページを探しながらまた視線を上げる事になった。真田君が痛そうな声を上げたからだ。怪我したのか?

「ま、政宗殿!そのような!血が…」
「良いから黙ってろ」

………。伊達君が真田君の指をくわえていた。

え、あれ、今時こういうのって普通?少女漫画でしか見た事ねぇんだけどこういう光景。え、普通なのか今時?それとも伊達君が実はオカン属性?思えばさっきからやけに甲斐甲斐しいけど…。あれ?お前ら顔突き合わせれば衝突するような仲なんじゃなかったっけ。ん?よくわかんねー。

まぁ、あれだ。前親戚からガキを何人か預かった時喧嘩ばっかしてお互い泣いたり泣かしたりしてた割に不思議と仲良しとかいうわけわからんのを見た事がある。理屈じゃないってのもあるんだろう。まぁいいや、事故起こさなきゃ。せいぜい仲良くやってくれ。

伊達君がズボンのポケットから絆創膏を取り出して真田君の指に巻きつけた。…用意良いな…。今時の男子ってそういうもんなのか?…まぁいいやナルトナルト。

「あとは俺やるからお前は皿出して大人しく座ってな」
「も、申し訳ござらん…」

またジャンプに視線を落として今度こそとページをめくる。

「政宗殿は随分と料理に慣れておるようでござるな」
「まぁな。家で飯食う時は自分で作ってるから」

「何と!ご両親は料理なさらないので?」
「………。いや、まぁ。親は仕事忙しいからいつも外で食ってくるしな」

「左様でござったか」
「あんたは全然やってねーみたいだな」

「お恥ずかしながら。母上がいない時は佐助が飯を作りに来てくれるので某はまったく台所に立つ機会がないでござる…」
「Ha!…んじゃ、こういう授業は本来あんたみたいな奴の為にあるんだな」

「そうでござるな。それならやはり、某も何か手伝いを」
「いい、怪我してる奴は座っとけ。んで、見て覚えな」

「承知した!」
「Ok、goodboy」

ナルトを読み終えた俺の指はワンピースを読むべくページをめくる。

「しかしながら、まっこと政宗殿は手際が良うござる」
「何言ってんだこれしきの料理。目を瞑っててもできるぜ」

「何と!それは凄いでござる!」
「慣れだ、慣れ。」

「政宗殿がもし女子なら、きっと良い嫁になれたでござるな」
「はぁっ!?ななっ、なっ、何言ってんだあんた?!よ、嫁?!」

「ははは、冗談でござるよ」
「………………。真田幸村。」

「何でござろう」
「昔と違って今は女だって外で働く。今時家事ができねぇ女なんざザラだ。家事を分担してやる夫婦だっている」

「そうなのでござるか」
「今は夫婦が支え合って家庭を作る時代だ。だから嫁がまったく料理ができなくても問題ねぇんだ。」

「おお…」
「俺としては…Ah〜…だから…。つまり、あれだ、料理がまったくできねぇ嫁もそれはそれでアリっつぅか…か、可愛いと思う、ぜ」

「政宗殿はどちらかといえば料理ができない嫁が良いと?」
「まぁ、料理下手な嫁に俺が作ったもんを毎日食わせてやるってのもなかなか良いと思うわけだ」

「意外と世話好きなのですな、政宗殿は」
「別に。怪我されるよりは俺がやった方が良いしな」

「左様でござるか。なれば政宗殿の嫁になるお方は幸せにござるな」
「そう、思うか?」

「そう思うでござる」
「………そうか」

バクマンおもしれぇ、と思いながらふと視線を上げる。

「えっ?!」

そして驚いた。

やけに伊達君と真田君の声ばかり聞こえてくると思ったら、家庭科室にはこの二人と俺しかいなかった。

「そっ、そこの二人!」

「Ah〜?」
「何でしょう」

伊達君が皿に肉団子をよそいながら、真田君が炊けたご飯を茶碗によそいながらこちらを向いた。

「ほ、他のみんなはどうしたの!?」

「さぁな」
「何やら頭痛とかで次々と保健室へ行かれましたぞ」

「保健室?!」

保健室行くなら俺の許可取ってけよ!と内心で突っ込みながら保健室に向かう。でも保健室にはいかにも変態のオーラを纏った保険医しかいなかった。

こういう場合あれだ、俺だったらどうした?

俺だったら、退屈な授業を抜け出したら…




屋上?




俺は屋上に向かった。屋上からいないはずの人の気配がする。そうしてドアを開けて、俺は生徒たちを見つけ出した。

「おいおいキミタチ何やってんのー」

生徒たちは皆ファンタ片手に好き勝手喋ったりバレーしたり昼寝したりしていた。青春といえばファンタだ。俺が学生の時もそうだった。

「今は家庭科で肉団子とか作る時間でしょーが。みんな好きだろ肉とか」

家庭科といえば男の俺でもワクワクしたもんだった。退屈な勉強しなくて済むし作ったもん食えるし、結構楽しかったし。サボるような授業じゃないと思うんだが。

「だって先生、やってらんないっすよ」

生徒の一人がマガジン読みながら声を上げた。

「伊達君が邪魔すんなオーラバリバリなんすもん。怖いしイチャイチャを見せつけられるしあんなとこいられねーよ」

邪魔すんなオーラ?

怖い?

イチャイチャ?

伊達君はよくやってたと思うけど?

「な、何の事?」

訳がわからず聞き返すと屋上中からため息が漏れた。

「先生、真田君並にニブいですね。いくらジャンプ読みながら授業してたとはいえ普通気付きますよ」
「何が?」

また屋上中からため息が漏れた。

な、何この妙な連帯感。俺?俺なの?俺が悪いのこれ?

「先生新人だからまだ知らないんですね…。伊達君が真田君と関わってる時は邪魔しちゃいけないんですよ。」

また違う他の生徒が呆れたように言った。手にはチャンピオン。

「邪魔?…何で?」
「伊達君が実は真田君が大好きだからです。伊達君の至福の時間を邪魔すると後でど突かれますよ」

………大好き?

伊達君が真田君を?

「この学園では常識ですよ。邪魔できるとしたら猿飛先輩か片倉先輩…あと空気を読まないで毎回痛い目に遭ってる前田KG君くらいです」

ちょちょ、ちょっと待てちょっと待て。えええ?伊達君が真田君を?えええ?

「試しに家庭科室にそっと戻ってみればわかりますよ。」

言われて、俺は好き勝手サボタージュし放題の生徒を置いて(つか今から料理やり始めたって絶対終わらないし)家庭科室に戻ってみる事にした。

足音を忍ばせ、廊下側の窓からそっと教室内を伺ってみる。

「オラ、んな慌てて食うとまた喉に詰まらせるぞ」
「んぐ、申し訳ない!しかしながらあまりにも美味で箸が止まりませぬ!!」

「心配しなくてもおかわりならいくらでもあるぜ。何か知らねーが他の奴らがいねぇから材料もたんまりあるしな」
「美味いでござるぁああ!!」

「ったくあんたは大袈裟だな、まぁそんだけ喜ばれりゃ作った側としちゃ悪い気はしねぇがな。…ほら、飯ついてるぞ」
「忝ない!」

………伊達君がさりげなくヒョイパクした。(※ほっぺなどについた食べ物を取ってあげた上に食べてやるあれだ)

ああそうか伊達君はオカン属性っていうか真田君が好きだったのか。言われてみれば伊達君の頭に花が咲いてるのが見える。…真田君は全然気付いてないみたいだけど…

「どうせならハンバーグ作ってやろうか?材料揃ってるし」
「良いのでござるか?!」

「あんたまだまだ食い足りねぇみたいだしな、俺は構わねえぜ」
「な、ならばお言葉に甘えてお頼み申す!」

ソースは何がいい?と言う伊達君の言葉を背中で聞いた。俺は家庭科室を後にした。

自販機でファンタ買って屋上行こう。今日は青空教室…そんな気分だ。




終わり

+++

(*^p^*)二年一組二組&先生、乙!!

政宗様が絆創膏持ってたのは勿論ユッキーの為。何日も前から何回も家庭科の授業を(っていうかユッキーとの合同授業を)脳内シュミレーションし、何回もユッキーが指を怪我した為あらかじめ用意していたのでした。役に立って良かったね!

あと、いつも通りKGメンゴ☆

11.08.25
 

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