戦国BASARA
□お兄ちゃんでござる!
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※現代
※年下政宗と年上幸村
※義兄弟
※政宗様がめっちゃガキんちょ
「ガキ扱いしてんじゃねぇよ」
それが初めて幸村に投げた言葉だった。確か初っ端ガキ扱いされたのだ。
今思うとあの時は俺が過敏に反応しすぎただけのような気もしないでもない。背は俺よりデカいが俺よりも明らかにガキっぽい顔つきから同い年か年下だろうと踏んだ幸村が俺より二つ年上だという事に驚いていた矢先のガキ扱いにムッとなったのだ。…まぁ、その辺がもうガキなんだが。
実際、俺が小学五年、幸村が中学一年だった時の話なんだから本当にガキだった。
計画に計画を重ねて至った顔合わせ。高級レストランの一角で顔を青くさせるそれぞれの親をよそにあいつは一瞬キョトンとして、それから屈託なく笑った。
「これは失礼致した、政宗殿」
***
父親が再婚した。
その事に関しては別に何の感想もない。あえて言うとすれば、ああ、そう。…その程度。
離婚した時の方が今回よりもまだ何かあった。これでもうあの女のヒスを見なくて済むだとか、弟とはまだ学校で顔合わす可能性があるんだよなとか。俺にとっては良い事ばかりだったのに心がやけに虚しかった事を覚えている。
俺は父親に、弟は母親に着いて行った。
弟は俺と違って気に入られているからあんな女とでもちゃんとうまくやっていけるだろう。 俺は、母親に疎まれていた。
だが父親とは割とうまくいっていた。…と、言っても父親は仕事が忙しくなかなか顔を合わせる機会なんてなかったが、とにかくぶつかり合う事はなかった。
父親は穏やかな性格だ。
機嫌の良し悪しで喚いたり殴ってきたりなどしない。それどころか時々会うと笑いかけてきたりする。
その父親が、あの日あの女を怒鳴りつけた。
俺が病院に運ばれた日だ。事故で片付けられたあの出来事、俺の右目が光を失った日。ずっと昔の話。
それから母親と弟と別居して離婚してしばらく父親と二人暮らしして(一人暮らし同然だったが)
そうして、再婚。
生まれも育ちも全く違う他人といきなり暮らし始めるのは少し不安があったが、ずっと俺を気にかけてくれていた父親の笑顔を曇らせたくなかった。
簡単だ。要は、父親に対してと同じだ。あまり接しなければ良い。そうすればうまくいく。
新しい母親はおっとりと穏やかだし、あっちの連れ子である幸村もいつもやたら元気で無邪気…というか、俺よりよっぽど精神年齢が下に見える。二人とも騙し易そうだ。都合が良い。
大丈夫だ、うまくやれる。
それに高校になってバイトができるようになれば家を出て行く予定だし。
それまでの辛抱だ
*