星月夜

□危険物な彼女
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夏の彼女の制服姿は

太ももまでの長いソックスに

チェックのスカート

赤いタイ

白いシャツ



先輩
今更ですが、それはちょっと無防備過ぎじゃないですか?



〜〜〜



「今日の部活はここまで!」



宮地先輩……あー、もう部長なんですよね。

訂正、宮地部長が今日の部活終了を告げる。



「ふぃ〜今日も頑張ったぜー」

「真面目に部活やってんのはうちだけだし、適当やると恐ーい部長様がいるからな」

「む、なんだお前ら、1年と一緒に掃除して帰りたいのか?」

「「めっそーもないですー!」」



先輩たちは相変わらず賑やかだよね。
ま、飽きなくていいけど。
それよりも



「夜久先輩、お疲れ様です」

「梓君、お疲れ様」



夜久先輩に声をかける。
先輩はスポーツタオルで汗を拭いていた。

いつもは背に流れている長い髪も部活の時は一つに纏められていて、弓道着姿の先輩はかっこいい。
中身はいつもの先輩なんだけれど……



「今日もで申し訳ないんですが、掃除終わるまで待っててもらっていいですか?」

「うん、気にしないで今日も待ってるよ。一緒に帰りたいもんね」



掃除が嫌なわけではないけど、こういう時年功序列の運動部って面倒だなって思う。
掃除は1年の仕事。
基本、始まりと終わりの2回あるから急いでる時は本当に面倒。
それでも、夜久先輩は待っていてくれるし、半端な掃除すると宮地先…部長に睨まれるから、手は抜かない。




「お待たせしました!」

「はい、ご苦労様でした」



部室の前で待っていた先輩と寮までの道を歩く。

もう9月も終わりだっていうのに、暑さは変わらず夏のそれのまま。
この学園、結構辺鄙(へんぴ)な山奥にあるから、多分それなりに涼しいはずなんだけど……これが異常気象の影響?

空もまだ、明るいが見える星の位置真夏のものとは徐々にずれてきている。




「それにしても……んー!!今日も疲れたねぇ」



そう言って隣を歩く先輩は、鞄や弓道着を持った腕を上げ、大きく伸びをした。



「そうですね。宮地部長、手をぬ…」



手をぬくってことしませんからね
そう続くはずだった僕の言葉がでなくなる。

腕を上げ大きく伸びをした彼女。
見えたのは先輩の腹チラ……



「え!?ちょ、先輩?あの、シャツの下のアンダーとかどうしたんですか?」

「んー?あー、替え持ってくるの忘れちゃってね。寮なんて直ぐそこじゃない?帰るだけだし、いいかなって脱いじゃった」



汗で濡れてるのとか、気持ち悪いでしょ

さらっとそういう夜久先輩。
なんというか……いや、知ってるつもりだけど、先輩ってかなり



「それより、ほら梓君もぐいぃ…って、伸びすると気持ちいいよ」



そう言って再び腕を上にと伸ばす先輩。



見えるお腹

いっそう短くなるスカート丈



「ちょ、先輩ストップ!!それ以上はダメですよ!!」

「え?ダメ?何かあった?」

「ダメも何も、それ以上はアウトですよ!」



自分の何がアウトなのか分かっていないのだろう。
キョトンとした顔をしているだから。



「先輩ってホント、無防備過ぎですよね……」

「そんなことないと思うよ」

「いえ、ありますね」

「なんで、梓君まで幼馴染と同じこと言うのー!?」



心外だと不満を顔にする先輩を見て思う。

ああ、その幼馴染の人達の苦労が見えるようだ、と。





いくら帰るだけっていったって
もうちょっと気を使って!!

ねぇ
今この学園に女子は1人だってわかってる?

『わかってる』ってその口は言うけど
意味を先輩はわかってないよね?

本当にわかってるなら
何で下着に直でシャツを着てるの!?

しかも何?
その目立つ色の下着!!

ホント……ちょっとは気にしてください…

いつだって一緒にいたいけど
そうはいかないんですから

いつだって僕が貴方を守れるとは
限らないんですから

いつだって僕が貴方を守るとは
限らないんですからね?


〜END〜

Title…Paralysis・syndrome

09/11/6


『はぁ…先輩、僕も男だってこと忘れないでくださいね』

「???」

『はは、何でもないですよ。本当に可愛いですね先輩は』

「?ありがとう?」

『ホントウニ、カワイイデスネ…』



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