願
□Himmlische
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魔女に会ったこと…
それがどんな意味を持つことなのか、その時の俺は知らなかった…
私が魔女に会ったことは、瞬く間に皇族の間に噂として広まった。
魔女に出会うこと
それは皇帝になれる可能性が高い事を意味する。
尚且つ、魔女に認められ力を与えられた者は、皇帝になることも夢ではないと、古くから皇族の間でまことしやかに囁かれていた。
けれど、母親が庶民の出で第十七皇位継承者という低い地位にいる私が、そんな噂を知る由もなかった。
そしてそんな噂が、元々自分達を良く思っていなかった連中の気持ちを爆発させた。
その行動は、驚く程素早かった。
噂が囁かれ始めてから一月が経った頃…
起こりうる筈がないテロが起こった…
母さんが体を張って私達を庇ってくれたおかげで、私とナナリーは一命を取り留める事は出来た
けれど、ナナリーは両足に大怪我を負い、ショックからその両目は世界を写す事を拒絶した
私自身、大怪我を負いナナリーのように足が動かなくなりこの両目が光を失う、といったような事にはならなかったが、ブリタニアの医療技術をもってしても消せない傷が残った
母さんの葬儀には出ることが出来なかった
怪我が治ってから直ぐに、父でありブリタニア皇帝であるシャルル・ジ・ブリタニアに呼び出された
そこで私は、父に…その時まで父と思っていた男に問うた
なぜ母を守らなかったのかを…
返ってきた答えは…
ブリタニア皇族には、「弱者は必要ない」というたった一言だけの、男の非情な言葉だった