□Himmlische
1ページ/6ページ

あの頃の俺にとって、スザクとナナリー以外にヒトはいなかった…





ナナリーの病んでいく心と、それによって一人でいる時に起こす破壊行為にほとほと困っていた時、枢木スザクは無遠慮に自分達の生活に入り込んできた

でも、スザクが入り込んできた途端ナナリーの行為は止まった

そして、ナナリーはスザクを受け入れた

最初は嫌いだった

でも、スザクのおかげで助かったのは確かだった

スザクがナナリーの世界に光をあてたのは、事実だったから



それから、自分達はすぐに仲良くなった

生まれて初めて出来た、打算など何もない‘友達’だった

周りがどんな状況かは、わかっていた
けど、スザクといて楽しかった
わかっていても、こんな日々がいつまでも続けば良いと思っていた





日本に来て半年が経った



今日は稽古があるとかで、スザクはまだ来ていなかった

「お兄様」
「何、ナナリー?」
「お兄様は、魔女さんにお会いした事があるんですか?」
「そんな話いつ聞いたんだ?」
「えっと…たしか、目が見えなくなってからだと思います」
「ブリタニアで?」
「はい」
「どんな話だった?」
「たしか…魔女さんにお会い出来た人は、王様になれるってお話だったと思います」
「王様…」
「私、もしお兄様が王様になれたら、優しい世界をつくって欲しいです…」
「ナナリー…約束する
僕は、ナナリーの為に優しい世界をつくる」
「約束ですよ」
「うん」
「じゃあ、ゆびきりして下さい」
「ゆびきり?」
「日本では、約束するときにするらしいんです
小指をこうするんです」

小指を絡めた

「ゆ〜びきりげんまん、うそついたらはりせんぼんの〜ます、ゆびきった」
「嘘ついたらはりせんぼんか、コワいな」
「だから、嘘ついちゃダメですよ」
「わかってるよ
それよりも、スザクの奴遅いな…」
「そうですね、スザクさんどうしたんでしょうか?」
「ちょっと見てくるよ」
「はい、いってらっしゃい」
「いってくる」


これが、ナナリーと交わした最後の言葉となった
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ