免許など勝己が持っているわけがなかった。


それでも。


店を出た少女の前には黒のオープンカーが一台。


その前に立つ、一人のホスト。


「…借りた。乗れ」


勝己が車に寄りかかっていた体を起こして、助手席のドアを開けた。


少女がシートベルトをつけるのを確認すると。


「よし」


頭をふわりと撫でて、ドアをしめた。


「いい夜だな」


見事な外車が、すべるように道を走る。


外灯が早い速度で後ろに消えていく。


なぜか。


月明かりをうける勝己の顔は無表情だった。


少女が店とは違う、その様子に不安を覚えはじめた時。


車が止まった。


そのとたん。


「…覚悟しろよ」


勝己は助手席のシートを一気に後ろに下げた。


華奢な少女の体が振動で跳ねる。


その上に。


獣のような素早さで勝己が覆いかぶさった。


迷うことなく、少女の喉元に唇をあてる。


「俺の女になれ」


驚いたように自分を見る少女の反応に、勝己はちいさく眉をよせた。


「…天然もいいかげんにしろ。後でわかっても逃がす気はないからな」


勝己は容赦なく少女のスカートの中に指をすすめた。


いや、と少女が逃れようとする。


―勝己は逃がさない。


だめ、と少女が叫ぶ。


―キスをして唇をふさぐ。


お願い、と少女が泣く。


―舌で涙を舐めとる。


「覚悟しろって言っただろ…俺はお前しか愛せない」


驚くように止まった少女に。


「お前も俺だけになれ…」


勝己は自分の牙をつきたてた。



→fin←


お帰りなさいませ。
勝己はいかがでしたか?
いささか暴走気味ですが、それも貴女様の魅力のせいでしょう。
またのご来店をお待ちしております。

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