青。
白。
黄。
赤。


さまざまな色の星々が宝石のように夜空にうかぶ頃。


二人は外にいた。


クラブGSの大きな扉の前。


愛車である真白のバイクのかたわらに。


「ほなら、コレで送ろか?」


まどかは笑ったけれど。


すぐに。


「―冗談や」


そんなつもりは毛頭ない、というように首をふる。


と同時に。


少女の瞳がわずかに揺れた。


どうやら「自分は送ってもらえるほど魅力がない」とでも勘違いしたらしい。


ふ。


まどかが笑う。


「自分、誤解してるで」


少女の顔をのぞきこむ。


「冗談や、言うたんは姫さんのためや」


驚いたように少女が顔をあげる。


「そりゃバイクで送ったら早いけど、危ないやろ」


タイプも変わったしな、とまどかがバイクの座席をなでる。


「後ろが高いやろ?」


もし転倒すれば華奢な少女はかんたんに傷を負ってしまうだろう。


「だからダメや。自分のこと一番やからな」


にっこりと笑って。


「歩いてこ?」


まどかは少女の手をにぎって歩き出した。


あっさりと置いていかれたバイクを少女がふりかえる。


「コラコラ。よそ見はあかんよ」


ふわり。


つないでいないほうの手で少女の頭にふれる。


「バイクなんてどうでもいい。俺が乗りたいんは自分だけやし」


それは冗談ではなく。


琥珀色の瞳が濃くなって、濃くなって。


「今すぐとは言わんから」


俺のものになりや。


声をださずに唇だけ動かして、まどかが少女を見つめた。


少女の頬が桜色にそまりだす。


それを見て。


「…ええの?」


え、と少女が声をあげる。


「そんな顔するちゅうことは期待してもいいん?」


思わず息をのんで声をだせない少女に。


「なんや強引に奪いたい気分やな…」


にぎっていた手に力がこもって。


頭をなでていた手がするりと髪をなぞって。


ふ。


キス。


「…好きや。俺の気持ちはずっと変わらへんから。早よう、こっちにきてな」


うなずく少女に。


まどかはもう一度キスをした。


今度は深く。


深く。


思いを伝えるように。



→fin←


お帰りなさいませ。
まどかはいかがでしたか?
買ったばかりのCBR1000RRも貴女様の前ではかすんでしまうようですね。
またのご来店をお待ちしております。


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