短い話
□145.手作りマフラー
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昼休みの中庭で、せっせと針を動かす。
私は手芸が好きだ。
細々としたものが好きだし、何より手軽に達成感を味わうことができる。
そして今も、2週間前からマフラー編みに励んでいる。
今編んでいるのは紺のツイード糸。
一昨日完成した白のモヘアはジャスティにプレゼントした。
「肩凝らない?」
顔を上げるとホークアイ中尉が首を傾げて微笑んでいた。
「凝ります。でも、好きなんです。」
中尉は笑顔で私の隣に腰を下ろすと、打ち明け話でもするような顔をした。
「部屋の皆がね、誰へのプレゼントかって、盛り上がってたわよ。」
特にハボック少尉がね、と付け加えて笑った。
「うーん。ただ、編むのが好きなんです…。」
でも確かに、編み続けると増えてしまうので、今までも周りの人にあげてきた。
「そうだ、次のは中尉にプレゼントしますね。」
「えっ、そんな、私はいいわよ。」
中尉は驚いたが、私はもうどんな毛糸で編もうか考え始めていた。
「中尉のコートは何色ですか?」
「…黒とベージュ。」
「それならどんな色でも大丈夫ですね。楽しみにしててくださいね」