桜 ノ 夢
□別離 〜番外編〜
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時は遡る。
愛しき者に別れを告げられる数ヵ月前…
『何だって!?』
彩女のけたたましい声が、力丸の部屋に響いた。
『彩女、落ち着け…』
影の存在にもかかわらず、彩女のその声は、城中にさも表の存在と言わんばかりの大きさ。
活発な性格故の…反応というものだろう。
『落ち着いてられるかい!?あの……鬼陰が生きてたんだよ?』
『ああ…この目で見た』
百聞は一見にしかず……
目のあたりにした力丸が一番驚いていた。
鍾乳洞での再会。そして、死闘…
『死んだはずのあいつが…なんで生きてんだよ…』
思い出すのは、冥王との死闘…
あの時、鬼陰は死んだ。
そう思っていたが、事実は違っていたようだ。
『どうも…天来という者が絡んでいるようだ』
傷ついた、愛刀の十六夜を打ち直す際に幻影が現われた、と続けた。
『はぁ?天来…?どんなやつだい?』
鬼陰というやっかいな敵の出現に加えて、新たな敵の出現は、彩女にとって『神経を逆撫でする奴』と位置付けされたようだ。
『拙者にも分からぬ…』
力丸も平静を装っていたが、内心は焦り、またもや郷田の国に危機をもたらすのではと危惧していた。