幻想(ユメ)愛想曲
□龍神の神子の現れ
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天真のその一言に頼久は「わかった覚えておこう」とだけ答えた
「それにしてもあかねの奴、朝早くから何のようだろうな?」
天真と頼久の遣り取り横目に、イノリは両手で頭を支えるように置くとあかねがいる部屋へと向かいながらそう呟けば、天真も同じように片手を頭に置きつつ「さぁな」と答えた
頼久はそんな二人の言葉に表情を曇らせため息に近い吐息をついた
「2人は昨日来た手紙をきちんと読んでいないのか?」
その言葉にイノリが首をかしげて頼久を見つめた
「頼久は知ってるのか?」
「……藤姫から来た文には『紹介したい人がいます、早めにきてください』とあったが?」
ちゃんと文に目を通せばわかるものを…と呟く頼久を無視しながらイノリと天真が会話する
「紹介したい人?誰だそりゃ?」
「とにかくだ。行けばわかるだろ。さっさと行くぞ」
そんな三人とは別に、先にあかねのいる部屋へと来ていた金髪隻眼の少年、地の朱雀であり、天真やあかねと一緒に召喚された流山 詩紋(ながれやま しもん)が不思議そうにあかねに尋ねる
「あかねちゃん、紹介したい人って…」
また、その横に座る僧侶姿の天の玄武である永泉(えいせん)も同じように尋ねた
「詩紋殿の言うとうりです。我々、八葉は集めてまで、というのはどういった方なのでしょうか?」
みなが、不安や期待の目であかねを見る中、三人だけ静かだった。その三人とは、昨日居合わせた友雅、鷹通と、地の玄武であり、陰陽師である安部 泰明(あべの やすあき)だった。
「神子様?皆がそろったようですわ?」
藤姫が、イノリ、天真、頼久の三人を部屋へと案内すれば
「うん」