Catants

□七
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落ち着いた様子で治療をする女医。

同じく、落ち着いた様子で治療をうける青年。

老人はにっこりとした。

「上々、上々。」

そう言って、青年の頭を撫でる老人。

以前ならば、老人の一挙一動に敏感に反応し、触らせてくれるどころか、近寄らせてさえくれなかった青年。

ずいぶんと、丸くなった。

老人はニッコリとして、青年を見つめていた。











「生徒を会わせる?!」

副校長にしてグリフィンドールの寮官であるミネルバ・マクゴナガルは憤慨して目の前の老人を見つめた。

「そうじゃ。英語を教えてくれる生徒が良いのぅ。」

「に、日本人に…?」

「ラキに、じゃよ。」

ミネルバはあり得ないものを見るようにして老人――ダンブルドアを見た。

そして直ぐに首をふる。

「あり得ません。危険すぎます。」

「危険? どこがじゃ?」

「日本人です!」

訴えるように、ミネルバは叫ぶ。

恐怖の国、日本。

いくら年若いと言えど、安心出来るものではない。

「ミネルバ、日本人というだけでそう判断するのは、浅はかじゃと思わんか? 実際、あの青年は何ら問題を起こしておらん。」

「…単に、傷がまだ癒えていないだけかもしれませんし…私たちを騙そうとしているのやも…。」

「ミネルバ。」

ダンブルドアは諭すように、名前を呼ぶ。

ミネルバは無意識の内に下げていた視線を上げる。

「疑わしきは罰せず、じゃよ。」

「…校長…。」

ミネルバの肩を掴み、安心させようとする。

ミネルバは落ち着かないようすで、視線をあちこちにさ迷わせる。

「不安ならば、あなたがラキに会ってみると良い。」

ダンブルドアは、微笑う。

「きっと、分かってくださるじゃろう…。」











普段は忙しそうにして一日一回しか来ない老人が、今日は二回来た。

一度目は、頭を撫でて、帰っていった。

二度目は、知らない女性を連れてきた。

髪を高く結い上げた、厳格そうな女性。

ラキは、静かな瞳で、女性を見つめた。

「ラキ、こちらはミネルバ・マクゴナガル。わしの同僚じゃよ。」

老人は穏やかな目でラキを見た。

ラキは老人を見つめ、女性を見つめた。

女性はどこか怯えていて、緊張している様子だった。

「……。」

キッと。

いっそ睨むようにして、こちらを見る女性ことミネルバ。

その瞳の奥の奥に揺らぐ、恐怖。

ラキは静かに、ゆっくりと瞬きをし。

礼をした。

英国にはない、頭を下げるという儀礼。

ミネルバは面食らったように、動かなくなった。

やはりダンブルドアは笑い、ラキの肩を叩いた。

「ラキ、この国では挨拶をする時、手を握るのじゃよ。」

「……?」

わからない、といった様子のラキ。

「ミネルバ。」

「っ…はい。」

突然話しかけられて驚いたのか。

ミネルバは動揺して、招き寄せられるままに、ダンブルドアの元にいった。

その手をとり、握手をするダンブルドア。

ダンブルドアは促すように、ラキを見る。

ラキは迷いなく、そして静かに、手を伸ばした。

対して、ミネルバは驚いた瞳でその手を見つめる。

そして、その手を、とった。

「上々じゃ。」

今日のダンブルドアは始終笑顔であった。





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