Twins

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僕は仕方ないから扉に手をかけて開けた。

すると待ち構えたようにダドリーが僕を物置へと押し込み、扉がまた閉められる。

僕は、飛んでくる僕を待ち構えていたアナトールの腕の中でうんざりしていた。

(ダドちゃんがやることはいつもワンパターン)

アナトールはまたクスクス笑うと、僕の額にキスをおとした。


「今日もハリーに幸福がふりかかりますように。」

「アナトールにもね。」


僕達のお祈りは皮肉まじりだったけど、これは僕とアナトールがいつもしているおまじないだ。

良いことがないってわかってても、そう口にするだけで本当になる気がするから。

僕たちは急いで物置からでると、キッチンへと向かった。


「早く!ベーコンを焼いておくれ。焦がしたら承知しないからね!」


そう言って叔母さんはダドリーのもとへと向かった。


 いっそ焦げてしまえ。


そう思いつつも、僕は腕を動かす。

隣では叔母さんに怒鳴られながら、アナトールが卵を焼いている。

僕は皿を並べてベーコンをのせる。

その後に続くようにして、アナトールが卵をのせた。

流れるような連携プレイ。

我ながら手慣れたもんだよな、と思う。

アナトールとアイコンタクトをして微笑みながら、皿を食卓の上にのせた。

しかしダドリーの誕生日だけあって、食卓の上のプレゼントの量は半端じゃない。

置くのは困難きまわることだった。

僕とアナトールは食卓について朝食を食べ始めた。

その横ではダドリーが悲痛な面持ちでプレゼントの山を指差している。


「三十六個しかない!去年より二つも少ないや!」

「マージの分は?数え忘れたんだろう。」

「それでも三十七個だ!」


僕とアナトールは顔を見合わすとあわててトーストをかじった。

長年の経験上、ダドリーはこのままいったらぶちキレて食卓をひっくり返してしまう、とわかっているのだ。

叔母さんもそのことに気付いたらしく、大慌てでダドリーに言った。


「そうだわ!このあとお買い物して、あと二つ買ってあげましょう。どう? 私の天使ちゃん。あと二つよ?」


ててて天使ちゃん?! なんてツッコミは八歳の時にやめた。

無駄だと悟ったんだ。


「そうすると、えーと…三十…三十…。」


 三十九個だこのあんぽんたん。


そんなことを思いつつ、僕はただ食べることのみに集中した。



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