Twins

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電話が鳴り、叔母さんがリビングを出ていった。

しかしまぁ、ダドリーへのプレゼントはすごいものだった。

・レース用自転車(運動嫌いなのに送ったやつはなに考えてんだ?)

・8ミリカメラ(こんな細かいもんダドちゃんにあつかえるのか甚だ疑問)

・ラジコン飛行機(これが壊れんの一番早そう)

・新しいゲーム十六本(ダドちゃんニート化計画?)


などなど。

ほとんどがそうそう廃棄物になる運命っぽいが、僕には知ったこっちゃない。

叔母さんが電話から帰ってきた時は、ダドリーは金の腕時計(時計の読み方知ってるんだ)の包みを破っていた。


「バーノン、大変だわ。フィッグさんが脚を折っちゃって、この子たちを預かれないって…。」


 よしきたぁ!


フィッグ叔母さんには悪いけど、僕は机の下で小さくガッツポーズをした。

だってフィッグ叔母さんの家は家中キャベツの匂いがするし、おまけに叔母さんが今まで飼ってきた猫の写真を全部、無理やり見せられるんだもん。

まるでKY。
わざとやってんのか、って思うほどさ。


「どうします?」


叔母さんが僕たちを睨みながら叔父さんに言った。


 おっかないなぁ…。(ガタガタ)


「マージに電話したらどうかね。」

バカなこといわないで。マージはこの子たちを嫌ってるのよ。」


 はっ。僕たちを好きな人間がいるのか疑問だね!


まぁ余計なことはいうまい。

もしかしたら僕とアナトールをこの家に置いていってくれるかもしれない。


しかし、叔父さんたちがうんうん悩んで(悩める子豚? いや、どう考えても"子"ではないな)出た結論は、僕とアナトールを動物園へ連れて行くしかない、ということのようだった。

信じられないような話だ。

あ、ラッキーって意味のね。


ただし、叔父さんは出発前に僕たちをそばに呼んで、脅しをかけるのを忘れたりはしなかった。


「言っておくがな………。」


叔父さんは 大きな赤ら顔を僕たちの目の前につきつけた。

僕たちは下がろうにももう後ろがない。

久しぶりに追い詰められた気分だ。


「変なことをしてみろ。ちょっとでもおかしなことをしたら、クリスマスまで物置に閉じ込めてやる。」


 殺す気かねw


でもまぁ普通を愛するこの一家にとって、僕たちが困った存在であることは否定のしようがなかった。

僕たちの周りには、あまりに不思議な出来事が起こりすぎた。


いつか叔母さんが僕たちの髪をバリバリに刈ってしまった。

あれは切ったとかじゃなかったよ。

そんで「やだなー最悪だなー」なんつった次の日は髪が元の長さまではえていた。


あとはジャンプしたら無駄に高いとこに着地したりさ。

いやぁ、あれは失敗失敗。

でもまさか、追い詰められていたとはいえ、屋根まで飛べるとは思わないじゃん?

人間やれば出来る。




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