Twins

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(ハリー視点)




朝日が眩しい。

もう朝だ。

でも僕は起きたくなかった。

アナトールをぎゅっと抱き締めて、ずっと眠っていたかった。


いい夢を見てたんだ。

ハグリッドっていう大男が来て、僕とアナトールを魔法使いの学校にいれるって言っていた。

それはつまりダーズリー一家から離れられるってことで…。



夢ってなんて残酷なんだろう!

こんなに目覚めたくないことなんてないよ。

でもそう考えれば考えるほど、僕の意識は覚醒へと向かう。


コンコン…


ほら、おばさんが扉を叩いてる。

もう起きなきゃ…


コンコン!


僕はぎゅっとアナトールを抱き締めると、目を開いて、起きた。


窓から朝日がさしこみ、僕らを照らす。

バサッと音を立てて、僕の肩から馬鹿でかいコートがすべり落ちた。

このコートの持ち主であるハグリッドはソファーで横になり、すやすやと眠っている。

暖炉の火はとうに消えていて、中には黒くなった灰だけが残っていた。


静かだった。

静寂が僕を包み込み、この見えているものが現実だと教える。

夢じゃなかった…。

夢じゃなかったんだ!


「…っ…………。」


僕は一気に気を抜くと、パタリと横になった。

そしてそのままアナトールを抱き寄せて、ぎゅっとした。


「…アナトール。」


名前を呼んでも、アナトールは身動き一つしなかった。

どうやらぐっすり眠りについているようだ。


コンコン…


ずっとアナトールの寝顔を見ていたかったけど、そんな音に僕は辺りに首をめぐらせた。

すると窓の外には――なんと――ふくろうがいるのが見えた。

開けて欲しそうに、何度も何度も窓ガラスを嘴でコンコンと叩いている。


「(…これがふくろう便ってやつ…?)」


 やれやれ。

僕は起き上がると窓に近寄って鍵を開けてあげた。

そのふくろうはまずハグリッドの元へいき、何か(多分新聞)をハグリッドの頭の上に落とした。


問題はその次だ。

そのまま出てくのかな、と思ったら、ふくろうは真っ直ぐアナトールを目指し。

攻撃し始めた。

宣戦布告と認定。


ガシィッ!


「ギョ、ギョエー!」

「鳥の分際でよくやるよね……。」

「ギョエー!」




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