Twins

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見上げるのがしんどい程の、大男。

ボウボウと長い髪、モジャモジャのひげに隠れて顔はほとんど見えない。

でも、その隙間から、キラキラと輝く黄金虫のような瞳がこちらを見ていた。


「おぉー!ハリー!大きくなったなぁ!アナトールはどうした?」


大男は僕たちに近付くと、ニコニコと笑った。

アナトールが慌てて死角から飛び出てきた。

てめて、とだけに、僕はアナトールの前に立った。

ダドリーは母親のもとへ逃げ出し、大男は僕たちににっこり笑いかけた。


「二人とも前見た時にゃ、ほんの小さな赤ん坊だったなぁ。ほんとに二人とも大きくなった!」


大男さんは僕たちが成長したことをまるで自分のことのように嬉しそうに言う。

僕たちはノーリアクション。

どうして良いかわからない。

でも、この人のことなんてなんにも知らないけど、
僕は心がちょっとだけ暖かくなるのを感じた。


「二人ともご両親にそっくりだ!…目の色を入れ換えたらポッター夫婦が蘇るなぁ…。」


そこだけ、大男は悲しそうに言う。


「リリーは赤い髪に緑の瞳でなぁ…よく笑う子だった。ジェームズははねっかえりの黒髪にハシバミの瞳で…いつも自信に満ちた顔しててなぁ…」


懐かしむように、また悲しげに大男は言う。

僕たちはただ黙って聞いていた。


「今すぐお引き取り願いたい!家宅侵入罪ですぞ!」


叔父さんが吠えた。

僕たちは身体を震わせた。


こんな大男に食って掛かるなんて!


大男は、叔父さんの声を聞くと、とたんに目をスッと細め、叔父さんのもとまでズカズカと歩いていった。


「黙れダーズリー。俺は二人に大事な用がある。すっこんどれ」
それだけを静かに言うと、大男は叔父さんの手からライフルを奪い取り、まるでゴム細工をひねるかのような簡単さでライフルを丸めてしまった。

そしてダドリーを掴むと、ダーズリー一家を隣りの部屋に押し込めんだ。


大男さんはフン、と叔父さんを鼻で笑うと、僕たちの方に向き直り、なにやら服をごそごそしだした。


「やれやれ…ハリー、アナトール、こっちにおいで。」


僕たちは素直に従った。

長年の恨みがつのったダーズリー一家を片付けてくれたことは、この大男を信用するに値することだった。

大男は大きな手の中に小さな箱を持っていた。


「ここに来る途中、俺が尻にしいちまったかもしれんが…まぁ、味に変わりはないだろ。」


差し出された箱をおそるおそる僕が受け取り、アナトールが紐といた。

そこには

ハリー&アナトール 誕生日ィおめでとう!

と書いてある、美味しそうなチョコレートケーキがあった。


「誕生日おめでとう。」


正真正銘、生まれて初めてのバースデーケーキだ。

僕たちは顔を見合せた。

感動やら混乱やらで何を言えば良いのかわからない。


「あの…ありがとうございます。」

「いんや。気にしなくていい。」


大男はやっぱりニコニコ笑って、僕たちに背を向けた。

暖炉にしゃがみこみ、なにやらをすると、暖炉に火がついていた。

暖かい空気が僕たちを包んだ。




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