Twins
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それからの一ヶ月間は、リオンさんが思うよりずっと楽なものだった。
だって、叔父さんたちときたら、僕たちなんかいません! って態度をとり続けるんだ。
僕たちがリビングに来ても、無視。
新聞が来ても(今までは僕たちに取りにいかせていた)、ダドリーに取りにいかせる。
ひたすら「ポッター兄弟などいません!」って態度。
叔母さんも同じ。
食事とかは作ってくれるけど、ひたすらに目を合わせようとしない。
ダドリー(僕たちのいとこ。この間ハグリッドにやられた豚の尻尾がまだとれていない)に至っては、僕たちを見たとたん逃げ出すし。
この家は今までにないぐらい住みやすいところとなった。
うるさいチャチャは入らないし、アナトールと好きなだけ話していられる。
これが一人だったら気が滅入ったかもしれないけど、アナトールがいるから平気。
リオンさんにも言ったように、二人だから平気なんだ。
一人じゃないって、すごく強いんだ。
双子で良かった。
アナトールがいて良かった。
僕を無視する人だけの世界じゃなくて良かった。
微笑んでくれる人がいて良かった。
好きだ、って…言ってくれる人がいて、良かった。
きっと、アナトールもそう思ってくれてる。
そう感じる。
叔父さんたちがそういう態度をとるなら、僕たちにとっては幸運だった。
わざわざこっちから関わろうともしなかったし。
それからは、リオンさんに言われた通り、本を読んで過ごした。
教科書はもちろん面白くて、アナトールと一緒に夜遅くまで読み耽った。
あ、そうそう!
ふくろうをハグリッドのところへ送ったんだ。
手紙を書いたらくわえて飛んでいっちゃった。
僕の白いふくろうはヘドウィグ(魔法史の教科書で見つけた名前だ)って名前をつけた。
アナトールは大分悩んでいたようだけど、ライン、と名付けた。
二人とも(ふくろうだから"二人"はおかしいんだけど)いたく名前を気に入ったみたいで、名付けた時は指を甘噛みした。
手紙はヘドウィグに預けて、ラインには別の手紙を預けた。
リオンさんへのお礼の手紙。
ラインは手紙とクッキーの包みを持って、すぐに帰ってきた。
それにまたお礼の手紙を書いて…としたらラインはずっと働いていることになってしまった。
ハグリッドからはメモに近い手紙が届いた。
もうすぐホグワーツの新学期が始まるから忙しいそうだ。
僕とアナトールはホグワーツに対する期待を日に日につのらせていった。
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