Twins
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金髪を揺らし、彩音が褐色の瞳をいたずらげに細めながら言い出した。
「じゃあ、改めて自己紹介。俺は彩音・ルーピン。父親がイギリス人で、母親が日本人とのハーフ。日本って知ってる? まぁ、小さな島国なんだけど。」
席に座ったとたん弾丸のように次々と流れ出てくる言葉に、僕とアナトールは目をしぱしぱさせた。
「つまり俺には四分の一日本人の血が流れている訳だね。」
ふふん、とどこか得意そうに話す彩音。
その隣には車椅子から降りたアシュレイが彩音にもたれるようにして腰掛けている。
その隣にレグルス。
彩音とレグルスはこういった状況に慣れているらしく、流れるような動作で車イスを片付けた。
もっとも、幼馴染らしいから慣れていて当たり前なのだが。
まずレグルスがアシュレイを抱え上げ(お姫様抱っこだった。レグルスはかなりの力持ちらしい)、彩音が車イスについていたボタンを押す。
すると車イスは手のひらサイズになり、彩音はそれを大切そうにポケットにしまった。
彩音はレグルスに手をかし、アシュレイを座らせる。
アシュレイは一人では座れないらしく、常に二人のうちのどちらかにもたれていた。
レグルスがいずまいを正した。
黒髪がサラリと格好よく額にかかっていて、青の瞳を隠す。
「俺はレグルス・フローライト。一等星だ。」
「一等星じゃないでしょ!それは名前だけ!」
「うむ。」
「うむ、じゃねぇ!」
二人の漫才のような会話にクスクスと笑うアシュレイ。
そこだけ花が咲いているような華やかさだ。
可愛い。
なんなんだろう、この状況。
このコンパートメント内(六人掛け)にいる人数、五。
全員男。
なのに世の女の子たちがこぞってうらやましがる美少女系少年が三人。
プラス一名美男。
今まではアナトールしか親しい人間はいなくて。
肉親ということを差し引いても、アナトールはやっぱり可愛くて。
それなのに、この世界に来てから出会うのは美少年に美少女系美形ばかり。
自分に自身をなくしそうだよ。
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