Twins

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「…ねぇ、ハリー…。」


先まで違って、どこか憂をはらんだ声音。

アナトールも緊張しているんだろう。

僕はアナトールに向き直った。


「どうしたの?」

「あの、さ……。」


しばらくアナトールは迷っていたようだった。

言葉はあるが、口に出せない。

出したくないのか。

そういった雰囲気。


「アナトール?」

「、っ…」


聞くと、ビクリと身体を震わせ、アナトールは、首を横に振った。


「なんでもないよ。ちょっと緊張してるだけ。」


そう微笑って言ったアナトール。

僕は安心させるようにアナトールの手を握る力を強くした。


途中に階段があって、アシュレイはどうするのだろう、と思っていたけれど。

心配する必要は無かったようだ。

車イスが元々浮いているため、階段でも気にすることはなかった。

しかもあの車イス。

階段であるのにも関わらず、地面に水平に移動している。

乗り手が不安になることはなさそうだ。

しかも、彩音やレグルスと歩調を合わせている辺り、かなり高性能だと伺える。

あのイス、なかなかやりおる。

でもオートなら彩音が度々サドルを持つ必要はなかったんじゃないか?


マクゴナガル先生は、やたらと馬鹿でかい扉の前まで行くと立ち止まり、僕たちを振り返った。


「この先では、皆さんの先輩方が、皆さんを迎えるために、待って下さっています。恥じることのない行動をとるように。」


それだけを言うと、マクゴナガル先生は大きな扉を開けた。

ちょっと、心の準備をさせて下さい。

もちろんそんなこと言えたもんじゃない。

僕はアナトールの手を少し強く握った。

アナトールも握り返してくれる。


少しの不安を抱えながら、僕たちは最後尾についた。

僕たちが入りきると、少しざわめきが起こった。

でもそれは、僕がハリー・ポッターであるから、ではなく。

間違いなく、後ろの三人の容姿に問題があった。


レグルスは言うまでもなく、誰もが認める美形。

しかもあのリオンさんの息子。

んでその隣に美しい青銀髪を持つ、儚い美しさをそなえもつアシュレイ。

そしてひまわりのように天真爛漫な様子で微笑う彩音。

みんなが振り返らないハズがない三人。

ロニーが居心地が悪そうにこっちに来た。


「あの三人と歩くといつもこうさ。」


憐れロニー。

それは辛かったろう。

僕ならあまりの温度差に絶望してしまうよ。

人間やっぱり見た目なんだ。

そんな世の中に絶望。

顔が良いやつはみんな仮面を付けて一生を過ごせば良い。


とかまぁ言うけど、みんなの視線が三人にいってる間に、僕は前髪で額の傷を隠した。

傷で有名になんかなりたくないしね。

前の方ではマクゴナガル先生が取り出した(四次元ポケ●ト?)帽子が何か歌っていたけれど知ったこっちゃない。

ようするに四つの寮があって、一人ずつ名前が呼ばれるから、呼ばれた人は前に行って帽子を被って、帽子が叫んだ寮の元に行け。

ってことだ。

チョロいね。

小学生でもわかる説明だ。

まぁ、僕小学生だけど。



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