Twins
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(ハリー視点)
僕たちはいつも、窮屈な、部屋とも呼べない部屋に押し込められている。
僕たちが年齢のわりに小さいのは、階段下の物置にいるのも一役かっているだろう。
夏はキライだ。
ていうか、夏休みを迎えるのも過ごすのも嫌い。
だって夏休みを迎えるにあたって、嫌いなやつ(=ダドリー/従兄弟だよ)の誕生日を絶対に迎えなきゃならないし、んでもってそいつはお気に入りのポッター狩りを始める。
なにより、二人で寝てると暑いんだよ。
十歳の男の子二人を階段下の物置にいれるって頭おかしいんじゃない? って時々思うよ。
空調悪いし、冬はすきま風が入って寒いし。
アナトールと一緒にいれるのは、嬉しいんだけど。
(アナトールっていうのは、僕の双子の弟で、とってもかわいいんだwww最低な家族に囲まれている僕の唯一の癒しの存在なんだよwwwww
これでアナトールは天井裏、僕は階段下の物置、とかだったら、叔父さんの目を盗んででもアナトールに会いにいくよ!
バレた瞬間に、階段下の物置に閉じ込められることは必須だけど)
そこだけは感謝してるけど…でもホントにこの家族って正気なの? って思う瞬間があることも確か。
従兄弟のダドリーは誰がどう見ても肥満体なのに、叔父さんと叔母さんから見れば、健康な証拠らしいし、その他etc...
ホント、どうかしてるよ。
そんな僕にバッドニュース。
どうやらもうすぐ起きなきゃいけないらしい。
しかも最悪な一日になりそう。
だって今日は、親愛なる従兄弟殿の誕生日。
「起きなさい!早く!」
僕はゆっくりと目を開いた。
せっかく良い夢を見てたのに。
「ん…。」
横では、アナトールが寝返りをうって小さく声をもらしていた。
カワユスww
このままずっとアナトールの寝顔を見ていたい。
そう思う気持ちを抑え、僕は起きて眼鏡をとった。
丸いレンズの眼鏡。
過去にさんざんダドリーにいじられたせいで、いろんなところにセロハンが張ってある。
ぼやけていた世界が一気にクリアになった。
その眼で隣で眠気と戦っているアナトールをみた。
カワユw
「アナトールー。起きないとまた叔母さんがうるさいよー。」
小声で囁くとアナトールはクスクスと笑った。
「うん。起きる。」
アナトールはそう言って身を起こすと、眼鏡を手にとった。
黒の額縁眼鏡。
その時、ダダダッと階段を上下する音が響いた。
あぁ、またか。
ダドリーのあんぽんたんめ。
僕とアナトールは目を合わせると、ハァとため息をついた。
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