Catants

□十
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授業後にダンブルドア直々に呼び出された。


「どうじゃ、アーサー。調子は?」


何気ない会話を装った前フリ。

もちろん、自分の健康状態を聞かれているのではないとわかっている。


アーサーは訴えるように、ダンブルドアの机に手をおいた。


「先生、もう限界です」

「……というと?」


神妙な顔のダンブルドア。

アーサーはどこか、なにかを決心した、そんな表情をした。

ただならぬ雰囲気…。


アーサーはバン!と机を叩き、叫んだ!




「医務室の中、二人っきりという空間ではこれ以上の上達は望めません…!」




もちろん、ラキの英語についての話だった。

そばで見ていた、アーサーの寮監であるマクゴナガルはずっこけた。


先の雰囲気はどうしたのか、今の二人の雰囲気はふにゃふにゃだ。


「だって〜、言語って〜、習うものじゃなくて〜学ぶものだと思うんですよね〜」

「ほっほっ。案ずるより産むが易しじゃの〜」


だらだら。

ふにゃふにゃ。


実はアーサーはダンブルドア校長と仲が良かったりする。

だからこそ、ダンブルドアはアーサーにラキの家庭教師をお願いしたのだが。


「それでは、ラキを外に出してみようかの」

「はい」


ふにゃふにゃした空気のまま、二人の間で約束がされた。

それに声をあらげたのはマクゴナガルだった。


「校長っ、それは…!」

「何も言うでないミネルバ。ラキはすでに信用に値する態度を見せた。今はそれに応える番じゃ!」

「そうではありません!」


はて? とダンブルドアが促せば、ミネルバはまた叫ぶように言った。


「魔法省が彼をとらえたら…!」


最初は日本人と聞くだけで恐怖し、近くにいるだけで怯えていたマクゴナガルが。

今は彼を守ろうと叫んでいる。

ダンブルドアはにっこり笑った。


「大丈夫じゃよミネルバ。安全策は十分にとるつもりじゃ。それにこのホグワーツに、簡単に侵入を許そうとは思わん。

ああ、もちろんラキの侵入は例外中の例外じゃが…」

「…、でも!」

「大丈夫じゃ。それに、ラキの世話はあやつにまかせようと思うとる」

「「あやつ…?」」


ダンブルドアはやっぱりニコニコと笑っていた。




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