Catants

□十一
1ページ/2ページ



ある意味、空気を読まないハグリッドと、決してフォローをしないラキとでは、うまくいかないかとも思ったが。

ハグリッドは陽気な質で、ラキの反応がうすくても全く気にせずしゃべり続けた。

ラキも話を聞くことは苦痛ではないらしい。


意外と二人がうまくいっていて、アーサーは正直拍子抜けした。


「ずいぶん仲良くなったね。」

「おお!ラキはいいやつだぞ!」


ニッコニコとしたハグリッド。

ラキは、ユニコーンの抜け落ちた毛をといているところだった。

傷付いた魔法生物たちの包帯代わりに使うらしい。

ラキも、医務室にいた時よりどこか輝いた目をしている。

アーサーは微笑んだ。


「ラキはホントにいいやつだ。度胸がある。森の中にいるやつらを怖がらねぇ。治療の時も怯えねぇからやつらも安心する。」


ハグリッドとラキは毎日禁じられた森に行っているようだ。

ラキは森が好きらしい。


「そうだ、アーサー。お前にも面白いもんを見せてやろう。」

「え…?」


アーサーは内心ビビっていた。

ハグリッドの“面白い”は面白かったためしがない。


「い、いやハグリッド…俺は遠慮して…」


「行かないのか…?」


ぽつり。

呟かれた言葉。

アーサーが振り返った先にいるのはラキ。


「行かないのか、アーサー…」


ラキは再び呟いた。

その手はハグリッドの犬を撫でている。

ラキがなにかを促すなど初めてのことで。

ラキが自ら言葉を発するのも、大変珍しいことだった。


「行く!行くよもちろん!」

「…そうか。」

「ガハハ!じゃあ行くか!」


ハグリッドが豪快に笑う。

アーサーはラキに対する喜びや驚きで、ほんの少し、理性を手放していたらしかった。



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ