Catants
□十一
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ある意味、空気を読まないハグリッドと、決してフォローをしないラキとでは、うまくいかないかとも思ったが。
ハグリッドは陽気な質で、ラキの反応がうすくても全く気にせずしゃべり続けた。
ラキも話を聞くことは苦痛ではないらしい。
意外と二人がうまくいっていて、アーサーは正直拍子抜けした。
「ずいぶん仲良くなったね。」
「おお!ラキはいいやつだぞ!」
ニッコニコとしたハグリッド。
ラキは、ユニコーンの抜け落ちた毛をといているところだった。
傷付いた魔法生物たちの包帯代わりに使うらしい。
ラキも、医務室にいた時よりどこか輝いた目をしている。
アーサーは微笑んだ。
「ラキはホントにいいやつだ。度胸がある。森の中にいるやつらを怖がらねぇ。治療の時も怯えねぇからやつらも安心する。」
ハグリッドとラキは毎日禁じられた森に行っているようだ。
ラキは森が好きらしい。
「そうだ、アーサー。お前にも面白いもんを見せてやろう。」
「え…?」
アーサーは内心ビビっていた。
ハグリッドの“面白い”は面白かったためしがない。
「い、いやハグリッド…俺は遠慮して…」
「行かないのか…?」
ぽつり。
呟かれた言葉。
アーサーが振り返った先にいるのはラキ。
「行かないのか、アーサー…」
ラキは再び呟いた。
その手はハグリッドの犬を撫でている。
ラキがなにかを促すなど初めてのことで。
ラキが自ら言葉を発するのも、大変珍しいことだった。
「行く!行くよもちろん!」
「…そうか。」
「ガハハ!じゃあ行くか!」
ハグリッドが豪快に笑う。
アーサーはラキに対する喜びや驚きで、ほんの少し、理性を手放していたらしかった。
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