☆CP小説Garden☆

□出会い〜俺を導いた、一輪の花〜
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「隊長が死神になったキッカケって、何だったんですか?」

松本のその一言で、俺はいつかの日を思い出していた。




















雛森が死神の学校に行き、死神になってから数年の時が経っていた。

雛森は死神の仕事が忙しいのか、この潤林安に帰ってくる日はめっきり減っていた。

とはいえ、俺はばあちゃんと一緒に穏やかな日々を送っていた。

そんなある日だった。

俺の運命を変えたのは。

「「「うわぁぁぁ〜!」」」

「「「きゃーーー!!」」」

突然、何故か分からないが潤林安が虚に襲われた。

「ばあちゃん!!」

「冬獅郎、早くお逃げ…!」

家が瓦礫へと崩れる中、ばあちゃんを助けようとしたら、化け物―これが虚だということに、あの頃はしばらく気づけなかった―に気付かれ、ばあちゃんが襲われそうになった瞬間だった。

「唸れ『灰猫』!!」

「!?」

突然の声が、一瞬で化け物を倒した。



―クルッ



「大丈夫だった?ぼうやたち。」

一瞬で化け物を倒した死神が、声を掛けてきたのだが…。

「“ぼうや”って何だよ!?ガキ扱いするんじゃねぇ!!」

俺の名前を知らない死神だから、そういう呼び方になるのは仕方がないのだが、“ぼうや”にはカチンときた。

「え…!?ι」

「こら、冬獅郎!すみませんねぇ、この子は、子ども扱いを酷く嫌がりまして…。」

「ばあちゃん!」

余計な事は言わないでくれ、とむすっとすると。

「クスッ」

小さな笑みが聴こえて。

「何だよ?」

それにさらに腹を立てたのだが、その死神は相変わらずクスクスと笑ってやがる。

「あ、ごめんね?でも、本当に大丈夫だった?“冬獅郎”くん。」

優しく頭を撫でながら、頭を撫でてくる死神。

笑われて、腹を立ててたはずなのに、その笑顔は何故か、その怒りを静めていって。

「別に…。」

だが、素直じゃない俺は、そんな答え方しか出来なかったが。

「もう、生意気盛りね〜!」

「痛ッ!」

そんな俺に、デコピンされたけど。

「松本副隊長!」

くだらないやり取りをしていた俺たちに、誰かが割って入ってきた。

「あんたたち、怪我は無い?」

「はい、大丈夫です!」

話の流れ的に、この死神の部下ってやつだろう。

俺たちから少し離れて、何か話している。




















そんな、死神たちのやりとりをしている所を見ていて、ふと気付いた。

俺たちを助けた、“松本副隊長”が、なんとなく腕を押さえているような気がする。

雛森もよく、怪我したくせに隠そうとして何気なくやる仕草が、それに似ていた。

そしてどうやら、“松本副隊長”の部下は気付いていないらしい。

「………。」

俺だったら、すぐに手当て受けさせるのに。

…というか、俺が強かったら…。

(死神だったら、ばあちゃんも…あの“松本副隊長”も…。)

この時が、初めてだった。

初めて、自分の“霊力”について考えたのは。

「“松本”!!」

「「「!?」」」

突然に、しかも明らかに目上の女性に言う言葉ではなかったが、そんなことを考える余裕などなくて。

「俺は強くなりたい!」

守りたい、ものがある。

「どうすれば、あんたみたいになれる!?」

いきなり詰め寄った俺に、“松本”は一瞬ビックリしたように目を見開いたが。

ふ、と優しい表情で。

「冬獅郎くんは…かなり強い霊力があるわね…。」

頭に置かれた手が、まるで答えへの道を導いてくれるようで。

「もし、本当に強くなりたいんだったら、死神になりなさい。霊術院で、力の使い方を学びなさい。」

分かっていた答えだった。

必要な道であることも、分かっていた。

「そして死神になったら、十番隊へいらっしゃい。ビッシバシ扱いてあげるからv」

最後はおちょくられたけど。

「絶対ぇー、十番隊には行かねー。」

何故か、“松本”の言葉で、素直にその運命を受け入れる気になった。
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