☆頂き物Garden☆
□クローバー
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※未来家族モノです
悟られたくはない、だけど離れてもいられなかったから、顔を見せまいと背を向けていたのに。
「――――乱菊、」
彼はすぐ、あたしの異変に気が付いた。
「どうした?」
問いには答えない。だって言えない、「もっとあたしにかまってちょうだい」だなんて。
彼と結婚し子供が産まれて、今あたしは幸せの真っ只中にいる。
授かった子供は、二人で育てていこうって決めた。
だから、前まであたしだけを見ていた彼が今や子供につきっきりであやしてることに、やきもちを妬いてはいけないの。彼とあたし、二人きりの時間がなくなってしまったことを、イヤだって嘆いてはいけないのよ。そんな女に子供を育てる権利なんてないんだから、我慢しなくちゃ、いけない。
「こぉら、」
ずっと黙っていたら、突然背中に感じたのはあったかさと少しの重さ。さっき子供を抱いていた筈の彼の腕の中に、あたしがいた。
子供は、と寝室を見渡すと、籠の中ですやすやと眠っているのが目に入る。
「な、なんですかいきなり‥びっくりしました」
急に抱きしめられたことにわざとらしく驚いて気を逸らす。
だって彼の腕の中はあたしにとって、どんなものよりも優る拷問器具。こうでもしなくちゃ簡単に自白してしまうの、あたしの胸にある我が侭な想いを。
「お前は相変わらず、嫉妬しいだと思ってな」
「!」
何となく思ってた。
ああやっぱり、この人既に、その想いを見抜いてる。
「…し、嫉妬だなんて、いつあたしが?」
「一体何年、お前と一緒にいると思ってる」
隠そうったってバレバレだ、ポーカーフェイスが苦手なことも よぉく知ってる。
彼は言って、あたしを縛る腕に力をこめた。
降参、きっと逃げることなんてかなわない。彼は一度あたしを捕まえたら 絶対放してはくれないもの。
「お願い、嫌いにならないで…」
懇願するような、弱々しくて情けない声。
でもあたしにはまだあなたが必要なの。自分の子供にだって、取られたくないの。
こんなあたしを、あなたは赦してくれる?
「心外だな、」
耳元で囁かれた言葉は、
「俺がそんな小せぇ男だと思うのか」
まるで麻酔のように、あたしを痺れ酔わせてく。