第一講義室

□夢のあとさき
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「すぐに戻る。待ってろ。」
そう言い残すと、先生は階段を駆け上がっていった。

いつもはクールな先生があんなにも必死になっている。他の誰でもなく、自分のために。

勝手について来たのだから、放っておかれても文句は言えないのに。もちろん先生はそんなことをする人じゃないけれど。

でもまさか先生が自分のために一生懸命になってくれる日がくるなんて。あるいは、これが運命というものなのだろうか。

瀕死の重傷を負っているというのに、薄れゆく意識の中で言いようのない幸福感に包まれる。

もうこの体はもたないかもしれないけど、命を引き換えにしても惜しくない気持ちだった。

「先生、有難う。」
そうつぶやく。

暖かな気持ちとは裏腹に体がどんどん冷たくなっていくのが分かる。本気でもうダメかもと思う。

でももし、奇跡が起こって、私がもう一度立ち上がることができるなら、その時は私が先生を守ろう。

この村で何が起きているのかはよく理解できないけれど、自分が持てる限りの力で必ず先生を守り抜こう。

自分に先生という存在が必要であるように、先生にも自分が必要だと思いたい。

だから神様お願い。先生を守れるだけの力を下さい。どうか、神様…

-END-
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