第一講義室

□落とし物
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蛭の塚/水蛭子神社湧水/初日/13時04分38秒


「先生、遅いですよー」

周りには誰もいないのだけれど、おもわず声に出してしまう。

私は安野依子。都内で大学に通う22歳。

わけあって、今羽生蛇村という寂れた村に来ている・・・のだけれど。
この村、寂れているだけじゃなくて、なんかおかしい。

まるで村ごとタイムスリップしたみたいに古い集落があったかと思えば、村の人たちが急に私たちを襲ってきたり・・・

そして目の前には血のように赤い池。
先生はこの水は絶対に飲むなって言った。
てことはこの赤い水が異変の原因ということ?

正直、何が起こっているのかよく理解できない。

先生は何か知ってるような感じだったけど、ろくに説明もしてくれないまま、私を置いて調査をしに行ってしまった。


さっきから私が先生と呼んでいるのは、私が専攻する民俗学の講師。
今回この村には、先生が独自の調査で一人で来ようとしていたのを
私が(無理矢理)ついて来たのだ。

そりゃあ下心も少しはあったけど、ちゃんと先生の研究の手伝いをしようと思ったのに・・・

なんだか大変なことに巻き込まれてしまったみたい。


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