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□あいつは
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昼休みを知らせるチャイムがなった瞬間2名の椅子が同時に動いた。
その2名とは勿論、俺とあのスカシタ野郎。あいつ意外と礼儀正しい奴だな。なんて思った。まぁそのやる気は買ってやる。
俺が先に教室を出た。
続いてあいつが、俺の後を追った。教室を出て、廊下であいつは言った。
「同じ事を思っているなんてな。」
「同じ事?」
「あぁ。俺も、お前を殴りたい。」
「それは奇遇だな。」
「お前さっき、うちはを愚弄しただろう。だっせー名前とか。」
えっ?お前、女子によって消された声聞こえてたの?どんな地獄耳だよ!!愚弄って小学生が使う言葉じゃねぇーだろが。
「うちはは、誇り高き名だ。お前の体に叩き込んでやるよ。」
「上等じゃねぇーか!でも生憎、俺様はこの小学校で最強だぜ。」
「の、割には、手が震えてるぜ、ビビリ君。寝言は寝ていうんだな。」
こいつ!
武者震いで震えてる手を!
今すぐ殴りたいが、屋上に行くまでの辛抱だ。
口でやり合っても無駄だ。かなりの自信家には、一度負けささないとな。
屋上への階段が、勝利への道程に見えた。
■□■□■□■□
夏の太陽がちょうど、真ん中に来ている。屋上だし風も吹く。良い風だ。昼休みは20分間。まぁ俺の瞬殺。あいつは口が悪いだけで食べ方を見ると育ちが良い。世間知らずなお坊ちゃまで世間の知ったかぶり屋のスカシタ野郎だ。喧嘩は俺ほど強くないはずだ。
本題に話しを戻すと、俺の目的は、スカシタ野郎に喧嘩という名目であのイケメン面をぼこぼこにして、女子に嫌わせる作戦だ。その作戦を解らせない為には、
「おい、喧嘩のルールを言うってばよ。刃物禁止、で純粋の殴り合いだ。勝敗は負けを認めた時点で、自分の負けを宣言する事。やめるのなら、今だぜ。」
「辞めるかよ、ビビリ君の方こそ大丈夫かよ。」
「あぁ、俺は大丈夫だってばよ。」
此処からが作戦を解らせない為の目眩しだ。
「それから、勝った方には負けた方へ一つ命令が出来るてばよ。俺が勝った時は、俺の子分になれ!」
と、あらかじめ、子供じみた事を目的かの様に言っとく。
あいつは、そんな子供じみた目的の為か、と思うはずだ。
「いーぜ。俺が負けたらなってやるぜ。俺が勝ったらな、うちはを認めろ!」
え?。自分の名の為に戦うの?そんな事の為に戦って、イケメンの顔じゃ無くなって、女子に嫌わされ、子分になるなんてな!笑い者だぜ。仮に俺が負けたとしてもそんな条件じゃ痛くも痒くもねぇ!馬鹿な奴。
「んじゃ勝負開始だな!」
と、同時に、お互い利き手で勢いよく殴り込んだ。さらに同時にわかったのは、
重い!こいつのパンチ!
喧嘩できやがる!
スピードもある!
やべぇ!ということ。
悪夢だった。一発目の重いパンチは、耐えたものの、10分後にはもう降参した。威力、スピードどれをとっても勝ち目が無かった。あいつ少林寺でもやってるじゃねぇーかって感じの反則の強さだった。
負けても痛くも痒くも無いはずだった。
俺は負けを認めた後気絶した。
後からキバに聞いた話しだと、あいつは5限目の授業が始まる時に教室に戻ったらしい。そこまでは、いいんだが。
問題は、
俺をおんぶしながら教室に入ったそうだ!それを見たイルカ先生が、あいつに気絶している理由を尋ねると、「この人は、階段で転んでました。」
と、言ったそうだ。クラス中にどっど、と笑い声が走り、「ナルトのバーカ!」と言われる中俺は起きたそうだ。
もう、学校に居たくなかった。
5限目と6限目の休み時間には、
俺達が屋上に行く姿を、こっそり後を付けた女子により、ナルトとサスケの殴り合いは、サスケ君の圧倒的勝利!と、学校中に広まった。サスケは木の葉小学校一強い男!とレッテル付きで。
女子には、サスケ君に喧嘩売るからだよ!ざまぁないわナルトの奴と罵られた。第一、圧倒的勝利って何だよ。確かに6限目の今、あいつの顔見ると、無傷だった。俺の本当の目的さえ、達成出来ていなかった。
一番ムカつくのは、あいつの殴った所は跡に残らない様な所だった。それが、加減されてるみたいで。嫌だ。