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□あいつは
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木の葉小学校の6年1組に転校生が来たんだってばよ・・






もう7月。残る小学校生活もあと、八ヶ月。俺と桜ちゃんの恋が実るまで八ヶ月。まだ実ってないけど・・・。でもこの八ヶ月が勝負なんだってば!中学生になったら他校の小学校と混ざる。もしかすると、桜ちゃんに近づく狼が現れるかもしんねーし。他校の奴らが来るまでに、そして同じクラスの機会が多いうちに、桜ちゃんをゲットするってばよ!と俺は、夏の虫が鳴いてて、クーラーの無い暑苦しい環境極まりない所で、無い頭を使って考えてた。
虫の煩い鳴き声は耳に一度入ると止まらないからか、虫の鳴き声を聞いてしまったせいで余計暑く感じた。




(まだ朝の8時半だっつーのに、虫は鳴るし、暑いし、つまんね。)


此処はおいろけの術でイルカ先生に鼻血ふかしてやるぜ!なんて、思い浮かべてるうちに、いつしか、俺は友達のシカマル、キバが転校生が来る、と言う話しをしていたのを綺麗さっぱり聞いてなかった。



イルカ先生がドアを開ける寸前、8時35分きっかりに変化だ!)

と、推測するのは、イルカ先生は俺の尊敬している先生だし真面目な先生だ。8時35分きっかりに来るに違いない。狙うはそこだ!





ガラガラ、−−−−−。

(よし、来た!)

おいろけの術!



と、してみたらいいものの、俺の当初の予定とまったく違った未来図だった。固まるイルカ先生に、その隣の俺より背の高い黒髪のイケメンスカシタ野郎。誰だこいつ。一番違った事は、クラスメイトは俺の芝居見てはいなかった。イケメンスカシタ野郎に群がり、ただ俺一人変人扱いで、・・・。

もう思い出したくもねぇ!!
俺の体張った芝居なんて、誰も見ない時代遅れの一発芸と自分で理解した。


イケメンスカシタ野郎は女子に群がられ、
「名前なんていうの?」
「どこからきたの?」
と女子に、もてはやされてた。

その中には桜ちゃんも居た。
それが俺の心を酷く傷つけた。


そして、何時までも誰にも見て貰え無かった俺の一発芸はすぐ隠した。ダサかったから。60秒足らずの出来事が俺には、今まで一番みっともない物になった。朝から、胸糞悪い。


「ゴホン、」
イルカ先生の咳の音だ。

「みんな、席に戻りなさい。転校生が困ってるぞ。」
困ってるぞ、と言ったものの、イケメンスカシタ野郎は不機嫌なスカシタ顔だった。


「えぇ〜。もう少し位いいじゃないですか。」

と、どっかの女子が言った。

「後にしなさい。」

俺はとっくに席に座ってた。イルカ先生の優等生だし。当然当然。

イルカ先生が白チョークで、「うちは サスケ」と綺麗な字で書いた。


俺が「うちは?!だっせー名前!背中の模様のうちわがお似合いだぜ!」
と罵ろうとした。

が、俺の顔は女子の手により机とキスしてた・・・


「サスケくーん!」

「かわいい名前だね!」
「友達いや、彼氏になってください!」
「抜け駆けしてんじゃないわよ!イノぶた!」

と、俺の声は消されてた。それどころか、押し寄せた女子により、顔までも潰されてた。



その後の朝のショートホームルームはもうぐちゃぐちゃだった。
イルカ先生の叫ぶ声と女子の転校生への黄色い声。耳栓しても耳が壊れそうだった。と、一時間目の授業が終わった時に振り返った。


しかも席もとなり。スカシタ野郎は席に座るたびに、
「チッ」
と、舌打ちするのが癖だ。

俺の席なんて休み時間には女子に取られて座れねー!!

あいつの回りの女子がとにかく喋る。あいつに眼を飛ばすと、
「何見てんだよ。ウスラトンカチ。」
って言われた。

そんな意味不明な事を言われたから、2限目は集中できなかった。

何だよ!うすらとんかちって!日本語か!流行語か!あいつ語か!


かぁ〜と林檎みたいな顔になって、3限目と4限目の休み時間に教室の後ろの棚の埃かぶった、紙の分厚い辞典で調べた。「うすらとんかち」って、そんな言葉は無かった。時間の無駄だった。10分間は犠牲になった。4限目が始まるし最悪だ。

いや、給食時間が最悪だ。と理解したのは、小学校生活の最大の楽しみである、給食時間だった。

あいつの面見て食事だ。
食えねーし。
なんで新参者ごときが、女子に注目浴びてんだ!
桜ちゃんを返せ!
俺の正直な本音だ。
とにかくあのサスケって奴が気に食わない。あのスカシタ態度。

我慢を知らない俺は昼休みに、あいつに喧嘩を売ることにした。

そのイケテル面をボコボコにして女子に会わせらんねー顔にしてやがるのが俺の目的だ。ここでの先輩の流儀もついでに教えてやる。
思い立ったら即実行だってばよ。

前に座って、白米をきちんとした箸使いで食べてる育ちの良さそうなあいつに、
女子の甲高い声とは、違った、低くはっきりした声で、
「おい、転校生、」
と、こっちを見させてやった。
「んだぁ、てめぇは?」
と鋭い眼光で睨んできた。
今からそのスカシタ面しばいてやる。喧嘩で殴るのには自信がある。なんせ、木の葉小学校一強い男だしな。

「昼休みサシでやろーぜ」
「あぁ、いーぜ」








木の葉一強いは自称だ。自称。
*サシとは
二人ですること
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