short(旧)
□今日と明日の狭間で
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何か飲んで寝てしまおうと、居間へむかった。
するとその明かりの付いていない部屋に、意外にもカンクロウがいた。
誰もいないものだと思っていたから、その黒い影を見て少し驚いた。
カンクロウは、居間のテーブルに伏して動かなかった。
そっと呼び掛けても反応が無い。
寝ているようだった。
静かに近づいても、無防備に寝息をたてていた。
カンクロウに会うのは、しばらくぶりだった。
一つ屋根の下で暮らしているにもかかわらず、互いに別の隊を率いているから、すれ違ってばかりいたのだ。
久しぶりに、私の悪戯心が疼いた。
背から抱きしめるように、カンクロウに体重をかけた。
一定の間隔で上下する背を最初は感じていたが、その内起きたのか、もぞもぞと動きだした。
それでも私が動かないでいると、下から"姉貴…?"と声を出した。
― 何だ?
― 重いんだけど
― ふーん
もちろん私はどいてやらないし、むしろ一層体重をかけてやる。
つぶされているカンクロウはうぅっと呻いて
― …ギブ
と言ったので、私はようやく放してやった。