short(旧)

□TRICK
1ページ/14ページ

10月31日 19:59
日の短くなったこの時期
すでに辺りは闇に包まれている。
木の葉の里門外に、一人の男がたたずんでいた。
彼は黒いマントで身を覆い、そして頭には不釣り合いなくらい大きなオレンジ色のカボチャを被っていた。
三角形にくりぬかれた目はあたりを見据え、ギザギザにくりぬかれた口は不自然な笑みをたたえている。
マントは周りの暗がりに同化していて、まるでオレンジ色のカボチャだけが、闇の中にぼぅっと浮かび上がり、淡くゆらゆらと揺れているかの様だった。
彼はしばらく動かなかったが、しかし何かを感じ取ると、カボチャと同じ笑みをたたえ闇のなかへ消えていった。
里の中では、一人の同士がいなくなった事にも気付かず、異色な祭礼が続けられていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ