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□幽霊たち
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姉と兄は、父についてどう思っているのだろうか──

ぼんやりと抱えていた疑問をふいに聞いてみたくなったのは、その日の真昼、役員会議から風影室に戻ってきたときの出来事がきっかけだった。
会議の内容は主に新米上忍の視察研修先についての話し合いだったのだが、それを他里と合同でやるか否かの話題になったせいで、研修の内容云々よりも見栄と意地の張り合いのような方向に逸れようとしていた。
幸いにも、我愛羅の隣に座していた聡明な議長は、会議を一時中断、続きは昼食を終えてからという判断を下した。
このとき我愛羅は、議題の内容とは別の方面に神経を擦り減らされる空間から抜け出ることができたおかげで、少なからず気持ちが緩んでいた。
そのため、風影室のドアを開けた彼は、中で待っていた人物の姿に、一点の疑問も抱かずに驚愕してしまった。
そこに、風影の机に向き合って立ちつくす父の後ろ姿があったのだ。
当然、その人物が本物の父ではないことは、彼が振り返ったことですぐにわかった。
「おう、お疲れ」
そう言って笑ったのは、紛れもない自分の兄、カンクロウだった。
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