short (旧A)

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穿つ岩石砂漠の一片に、テマリは腰を下ろしていた。夕刻の迫るこの時間、砂漠で休むにはいささか危ぶまれる時であるが、しかし彼女の目的地であるオアシスまで、あと少し。完全に日が沈んでしまう前には、何とかたどり着ける距離であった。
すぐ側には二人の弟がいる。砂漠と横断するときに着用する、フードの付いた長いマントを着込んでいた。昼間は突き刺さる日光から体を守る為、夜は身を切る程の寒さから体温を守る為の、大切な代物だ。任務で里を出てから一日中、熱い日差しの中そのマントを羽織って歩き続けてきたが、砂漠の気候を嫌という程分かっている三人には、大した苦痛ではなかった。それよりも寧ろ…
テマリは傾いた太陽を見て、マントの結び目をもう一度固く結び直した。天にある真昼の敵が通り過ぎた今。今度は、迫る夜、迫る寒さに、身構えるのだ。

テマリ、カンクロウ、我愛羅は、砂隠れから比較的近場にあるオアシスの街に、任務を言い渡された。その任務、実のところ既に、別の隊に任されていたものであったのだが、当の小隊がその任務を失敗し、三人の元に渡ってきた経緯がある。任務内容は、依頼人の盗まれた書物を奪い返すだけという、三人にとっては笑ってしまうくらい平凡なCランク。
ところが相手方の盗賊達は中々の手練れだったらしく、最初に受け持った小隊が苦戦し、結局、肝心な書類を持たせたまま賊の一人を逃がしてしまったのだ。
もちろん任務は失敗し、そして不幸にもその汚名を雪ぐ為、休日となっていたテマリ達に、白羽の矢が立ったのである。
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