小説。
□ギフト
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せやけど、付き合い始めてしばらくすると…、
いっちゃんから僕に話しかけるようになってん。
どんな安っぽいモンでも、
冗談交じりの言葉でも、
つまらんケンカの理由でも、
僕はちゃんと、今もココにしまってあんねん。
僕といっちゃんが出合った偶然にも出会えた幸せ
それこそこの世でたった一つの贈り物なんや。
そう言えばこの前、雑誌に載ってた服買いに行こう思うたら、
何処の店にも置いてなかったんや。
僕は諦めかけたその時、いっちゃんが息を切らして嬉しそうに届けてくれたんや。
息まで切らして、どれだけこの服探してくれたんやろう。
その気持ちにグッと胸が熱くなった。
心まで満たされた気分やった。
どうしてここまでしてくれるんや?
そういっちゃんに聞いてみてん。
そしたらいっちゃん
「今日、市丸の誕生日じゃんかよ。」
僕は嬉しくって溜まらんかった。
まさかいっちゃんが覚えてくれているとは思わんかった。