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□何処でも貴方と
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向けると2人の後ろにもう1人。
そこにはこちらを見ながら煙草をふかす奈良明がいた。

「…なんだ」
「…お前、彼女いたのか…」
「だったらなんだ」
「なんでこんな奴に…」

何ショック受けてるんだこいつは。

「あら?こちらの人は?」
「奈良明。俺らと同じ武装のもんだよ」
「そうなの!?こんにちは、名無氏名無子です」
「お、おぅ…どうも」

何照れてんだこいつは。

「奈良君もバイク乗るんだね、かっこい…わっ」

もうダメだとイラつきが頂点に達した天地はぐいと名無子の手を引き歩き出す。
何も言わず気づかなかったため少しフラつくも歩きながら大勢を整えた名無子は振り返り、りんご飴を軽く揺らしながら別れを告げた。

突然行ってしまったため一同唖然とするが、天地だから仕方ないなと納得した。

「天地も嫉妬するんだ…」
「は?嫉妬?」
「相変わらず名無子には弱いんだな」
「お前ら俺を置いてくなよ!」

ずんずんと進んでいき、屋台も沢山通り過ぎた。
途中で気になる店があったのか、名無子が何か言ったような気がするがお構いなしに人ごみを抜ける。
着い
た所は静かな公園。
後ろの方では祭りの明かりが灯っている。

「ごめんね」
「何が」

素っ気なく言うのはいつもの事だが、名無子はわかってるようでわかっていない。

「だって寿ちゃんと来たのに拓海ちゃん達と話し込んじゃったから」
「別に」

どかりとベンチに座り、すとんと名無子もベンチに座る。
依然手は繋いだままで、いつの間にりんご飴の棒を捨てたのか、ぎゅっと両手で握られた。

「それに寿ちゃんこういうとこ苦手だもんね…ごめんね」
「一々謝んな」
「ごめ…あーもう、機嫌直して!」
「ガキじゃねぇよ」

完全に拗ねてしまったのかも。
思えばお祭りデートと言いつつ食べる事に夢中だった。
ポスッと天地の肩に頭を預けた名無子の頭に、天地は寄りかかる。
そんな天地の反応で機嫌は悪くないのだなと悟った。

「でも、楽しかったのは本当」
「そーかよ…」

こっそりと表情を伺い、名無子は「寿ちゃんと一緒なら何処でも楽しいよ」と笑った。
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